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劇場版ポケットモンスター/ダイヤモンド&パール アルセウス 超克(ちょうこく)の時空へのbackpackerのレビュー・感想・評価

1.0
劇場版ポケットモンスター第12作

〈神々の戦い三部作〉の締めくくりは、まさかのタイムトラベル過去改変映画でした。
この映画、残念ながら、私には全く響きませんでした。
ストーリーがどうとか言っていられないくらいに、タイムパラドックスの扱いに苛立ちを感じてしまったからです。

子ども・ファミリー向け映画にタイムパラドックスがどうのなんて求めるのか?という視点もありますが、例えばファミリー向けの人気作『ドラえもん』は、そもそもが過去改変を目的に未来からやってくるお話である為、タイムパラドックス問題への対応方針はちょこちょこと見受けられます。
そこを踏まえると、「子ども向け映画では無理」というような、難題をぶつけてるわけではないと考えます。
長い過去回想や冗長な展開を削り、タイムトラベルにより生じる複雑で難解な事象について、しっかりとした説明をすることは、最低限必要なことだと思います。
本作で行おうとしているタイムトラベルについてもっと真剣に考察し、違和感を与えない脚本にしてほしいと思わざるをえません。


〈過去改変を実行すると、代償として、現在の事象に対する因果関係の断裂が起き、バタフライ効果等による世界規模の変化が起きる。それは、戻る過去が昔であるほど、影響が大きくなる。〉という考えが、私の賛同する主張です。

そのため、ダモスとギシンの生死や、アルセウスの人間に対する認識変化と眠りの期間の有無等、現代の出来事を根底から覆す改変が行われたのならば、当然現代に大きな影響が現れると考えていたわけです。

ディアルガの時間転移能力は、そう言った波及効果の発生すらも凌駕するという事なのでしょうか。
はたまた、改変後はパラレルワールドとなり、ディアルガの能力による帰還は、異なる歴史の流れに分岐した世界へとサトシたちを誘った(その場合、その分岐世界に本来いたサトシたちの扱いや、現代帰還時点でもアルセウスとのバトルが継続していたことへの説明等、不可解な事象が残り過ぎますが)と見るべきなのでしょうか……。

繰り返しになってしまいますが、本作の、出鱈目に都合の良い過去改変により丸く収まる究極の能天気ハッピーエンドは、タイムパラドックスをまるで考慮しない姿勢が正直度し難く、愕然とするほかありません。

全く納得いかない結末であることを度外視しても、過去シーンの中弛みが酷く、鑑賞そのものがかなりしんどかったです……。

三部作の終わりという意味でも、単体映画のストーリーという意味でも、物語の内容という意味でも、今の自分では楽しむ事はできません。
いつかおおらかに受け入れ、面白く見られる日が来ると信じて、その日まで、記憶の片隅に封印しておきます。

本作は、SF愛好家の方々は、どのように評価されているのでしょうか。
SFマガジンあたりで評論されてたり……しませんよね。

【備忘】
ルパン三世テレビスペシャル『霧のエリューシヴ』も、過去に飛ぶ話だったなぁと、思い出すきっかけになった。

【今回のやまちゃん(山寺宏一)の担当】
ギシン……ゲスト悪役。ダモスの部下。死んだように見えて、エンディングで農作業しており、生きていたと判明(あれが本作より前の出来事だったら話は別ですが)。
そんなその後のこぼれ話いらんがな。全くもって度し難い。
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