東京キネマ

キャデラックレコード 〜音楽でアメリカを変えた人々の物語〜の東京キネマのレビュー・感想・評価

2.0
『RAY/レイ』を観たばっかりだったので、どうにもこうにもズッコケました。演出もヘタだし、脚本も平板です。エタ・ジェームズがフッカーだったのはちょっと驚きでしたが、レナード・チェスに呼ばれた部屋で、便所でいきなり歌い出すって、何じゃそれ、もそうなんですが、そもそも天下の美女ビヨンセがエタをやるってのもあり得ない設定です。もうビヨンセってどこからどう撮ろうと億万長者の顔になっちゃってますから、ずんぐりむっくりのおブスだからこその悲しい人生は全く見えてこず、興ざめするばかりなのです。

恐らく音楽ファンは、アメリカ南部限定のプリミティブな音楽だったブルースが、どう化学反応を起こしてR&Bに発展していったのかということが興味の中心だったのじゃないかと推察しますが、その回答は全くありません。マディ・ウォーターズの有名な言葉「やっぱり生より電気がいい」(変な勘違いしないでね!)、から始まったエレクトリック・ブルースへの傾倒くらいは掘り下げて欲しかったなあと思うんですけどね。というより、新しい音楽に出会ったことの高揚感といいましょうか、陶酔感といいましょうか、そういった熱狂が全く感じられないのは致命的です。レナード・チェスの弟フィル・チェスの存在が完全に消されているとか、キャデラックの現物支給は嘘だったとかは映画文脈上の作為として了解しますが、音楽のソウルが伝わってこないんじゃ、そもそもこういった映画を作る理由もないんじゃないでしょうか。。。
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