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スピリットウォーカーのkuuのレビュー・感想・評価

スピリットウォーカー(2020年製作の映画)
3.5
『スプリットウォーカー』
原題 유체이탈자/Spiritwalker
製作年 2021年。上映時間 108分。
12時間ごとに違う人間の体で目覚める男が真実を求めて奔走する姿を描く韓国製SFアクション。
ユン・ゲサンが主演を務め、イム・ジヨン、ユ・スンモクが共演。

交通事故の現場で目を覚ました男。
彼は全ての記憶を失っており、鏡に映る自分の顔にも名前にも違和感を覚える。
しばらく経つと、男はまた見覚えのない場所で目を覚ますが、今度は先程とは違う顔だった。
やがて彼は、自分の体が12時間ごとに違う人間のものに入れ替わっていることに気づく。
何が起きているのか、本当の自分は何者なのか、真相を解明するべく行動を開始した彼は、いつしか自分が巨大な陰謀に巻き込まれていることを知る。

今作品は、『オールド・ボーイ』と『ビューティー・インサイド』(どちらも韓国作品)を思い起こさせます。
前者はアクションとミステリー、後者はコンセプトという意味で。
目が覚めたら新しい自分がいて、何も覚えていなくて、何が起こっているのか理解しようとする? ワイルドたゼ~ェ(チョイ古く感じるスギちゃん風に)!
ユン・ゲサン、パク・ヨンウ、イム・ジヨン、そして数え切れないほどの助演俳優が出演していた。
今作品には最近韓国映画で見た中でも興味深い前提があった。
目を覚ますと12時間ごとに新しい顔と体になっており、何が起こったのか謎を解こうとする?  興味をそそられました。
また、物語は冒頭から惹きつけられ、何が起こっているのか推理してみたくなる。
『ビューティー・インサイド』の基本的なアウトラインはそのままに、メロドラマ的な部分を削ぎ落とし、本格的なアクションに置き換えていた。
ジャンルは正反対やけど、『ビューティー・インサイド』を『ジョン・ウィック』のスタッフが作ったような作品でした。
また、今作品には様々な登場人物、いや、俳優と云うべきかな、基本的に同じキャラを演じているため、多くの顔ぶれの紹介があった。
この当たりは今観ているAmazonオリジナル韓国ドラマ『もうすぐ死にます』も今作品に周到してるかな。
正直なとこ、最初は受け止めなければならないことが多すぎて少し混乱したけど、映画は観てる側に説明し、すべてを受け止めるのに十分な情報と時間を与えるという巧みな仕事もしていた。
それに、それぞれの俳優が同じキャラを演じている場面もあったが、メインキャラ以外の脇役もいた。
小生のヘッポコ文章では不可解に聞こえるかもしれないけど、観れば理解できるとは思います。  そして、これらの主人公以外のキャラは、それぞれに特徴を持っており、一人二役を演じなければならない俳優たちの演技のうまさを物語っていた。
主役は皆良かったが、脇役も良かった。
特に面白いと思ったのは、パク・ジファンが演じた浮浪者役。
今作品は最初から個人的には興味をそそられ、全体的には楽しめたのやけど、頭の奥がチクチクするような感覚があり、今作品が力強く終わることができないのではないかとずっと恐れていたと云わざるを得ない。
たしかに、今作品には素晴らしい物語とコンセプトがあったけど、それをしっかりと終わらせ、すべてを包み込むことができなければ、何の意味があるんやろか?
結局のところ、今作品はテンポも進行も良かったと思うが、結末や解決に完全に満足したとは云えない。
エンディングはなんだかあちこちで、急いで終わらせた感じがした。
しかも、体を変えるなんて現実にはありえないことだが、映画の世界であっても、そこに現実感を残し、説得力を持たせるよう努力すべきやったんちゃうかな。
ネタバレを避けるためにこれ以上は書かないけど、連続性や論理性は少し残念で、もっとしっかり構築できたはずかなぁと。
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