彦次郎

カポネの彦次郎のレビュー・感想・評価

カポネ(2020年製作の映画)
3.3
禁酒法時代に暗黒街の帝王として君臨していたアル・カポネの晩年を描いた伝記にみせかけた社会派スリラー。
1946年刑期を終えるも絶大な影響力も消えていたカポネが梅毒第三期のため精神状態が錯乱状態と化していくのですが隠し金1000万ドルを求める人々とのやりとりだと存在を仄めかしたりと狡猾な点は残っているのが彼らしいところです。幻覚や悪夢に悩むカポネですがFBIから始終監視されているのであまり大差ないともいえます。
1000万ドルの件も美術品を売却する必要があったことから徳川埋蔵金並みに存在が怪しいですが聞かれても忘れたといい突然ワニをぶち殺すところからも本人の妄想であった可能性も捨てきれません。
アル・カポネというフィルターを外すと梅毒が進行した認知症による狂気という点がメインでありオムツをつけてマシンガン連射で死傷事件というのも高齢社会で無いとも言い切れないところが恐ろしいです。日本でも現在(2023年8月時点)梅毒が急速に拡大しており未治療(自然治癒はしない)の場合このような結末を迎えるという教育的な面もあり社会的な問題を提起した作品といえるのかもしれません。
個人的には観た時には『ヴェノム』のエディと同一人物だとは思えないほどの演技力を見せたトム・ハーディが素晴らしかったと思います。
彦次郎

彦次郎