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ジョン・ウィック:コンセクエンスのスペクターのレビュー・感想・評価

4.9
『ジョン・ウィックやるよ』と、息子から聞いたのが、今年の春。
いつものように封切日に観に行くつもりでいたのが、
封切り間近になって、『イコライザー』の情報がテレビで入った。
迷った挙句、デンゼル・ワシントンの魅力に負けてしまった。

イコライザーのあと、すぐ行くつもりでいたが、
なんだかんだあって、今日になってしまった。

スクリーンも一番小さい隅っこにあるSC10に、
上映も午前はなくなり、午後に1本のみ。
ややもすれば、1ケ月後のレンタルの世話になったかも。

観客は、中央席の私の前は誰もいなく、後方に10数人程。


最近のシリーズ作品、
主人公の年齢もあってか、どんどん終わっていく。
『007』グレイグ・ボンドシリーズは寂しくも終わってしまった。
『M:I』シリーズも後編待ち、でラスト。
『イコライザー』シリーズは今回で終わった。
『ボーン』シリーズは、5作目で続編がある終わり方をしたが、ヤル様子にない。
『インディー』シリーズは、この前、5作目をやって、もう1作やるとかやらんとか。
インディーは4作目で終わっておくのが正解だったかも。
『ワイルドスピード』も、第11弾で終了予定。


さて、本作品『ジョン・ウィック』シリーズも、
今回の第4作『コンセクエンス』で終了。

本シリーズは全てレビュー投稿しているが、
2014『JW1』(3.8)
2016『JW2』(4.1)
2019『JW3 パラベラム』(4.3)
につづく、今回の『コンセクエンス(結末)』、
初回の “妻の形見の犬の殺害” されたことから、5年以上封印してきたものを壊し、
いわゆる“殺し”に徹する.......
その辺りで十分に殺しアクションに堪能できたのに、
それが、更にグレードアップされ、
今回のギガ盛りノンストップ・アクション超大作169分に仕上がってしまった。

映画館上映も終了間近となり、賞味期限も近づいており、
ある程度内容に触れても許されると思われる。

場面は、砂漠での初っぱなの殺しから始まり、
ニューヨーク、ベルリン、パリ、そして大阪へと目まぐるしく展開。
この大阪でのシーン、30分以上の時間が割かれる、
大阪コンチネンタル・ホテルの注目のシーン。
ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス)の友人であるシマズ・コウジ(真田広之)と
その娘シマズ・アキラ(リナ・サワヤマ)が、目を見張る活躍をする。
キアヌ・リーブスの日本語も聞ける。

後半のヤマ場が、ジョン・ウィックがグラモン侯爵(ビル・スカルスガルド)に決闘を申し入れ、
翌日の夜明けに決行されるまでの展開。
カーチェイスあり、寺院に通じる220段の石階段でのアクションありで、
息つき出来ぬシーンの連続である。
スタントの方々に敬意を表します。

夜明けの決闘シーンで、やっと、本来の映画らしく落ち着いて鑑賞することができた。
ジョン・ウィックと侯爵の決闘代理人である盲目の殺し屋ケイン(ドニー・イェン)との
決闘の決着がついたところで、
侯爵が、“俺がトドメの一発を” と、ケインから銃を取り、ジョンを撃とうとしたとき、
ニューヨーク・コンチネンタル・ホテルの支配人ウィンストン(イアン・マクシェーン)の
発した言葉が忘れられない。
“クズ野郎、彼はまだ撃ってなかったんだよ。死ね!”
【決闘で与えられる弾は1発づつ、ジョンの弾倉にはそれが、まだ残されていた】

寺院を背景に、血だらけのジョン・ウィックが朝日に映し出される姿に、やっと自由を手にしたという達成感と安堵感が漂う最高のシーンである。
キアヌ、お疲れ様。


映画前半で、ケインの娘が、街角でバイオリンを弾くシーンがある。
ショパンのピアノ曲ノクターン “遺作” であった。
ピアノでしか聴いたことがなかった。


エンドロールが10分ぐらいあった。
殆どの人は席を立ったが、私は、いつも最後まで音楽を楽しんでいる。

ところがである、
音楽が終わって、照明が点くところ、
暗いままで、スクリーンに映像が流れ出したのである。

盲目のケインが、バイオリンを弾く愛娘に杖をついて近づいていくように見えた。
雑踏の中に、女の姿が見える。
ケインに殺されたシマズの娘アキラのノーメイクで形相を変えた顔が映し出される。
 

監督:チャド・スタエルスキ
2023.10.17  TOHOシネマズ
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