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パラサイト 半地下の家族 (モノクロVer.)のtetsuのレビュー・感想・評価

5.0
元ネタ『下女』を彷彿とさせる白黒版ということで、気になって鑑賞。

非英語作品で初めてのアカデミー賞作品賞受賞という快挙を成し遂げた『パラサイトー半地下の家族ー』
本作を監督と撮影監督が、自ら1シーンごとに色合いを調節した白黒版。

白黒になっても相変わらず面白く、改めて鑑賞すると、古典映画と遜色ない完成度であることが分かるクラシックスタンダード。
もはや、ここまでくると「午前十時の映画祭」で観た気がする。笑

まさしく「流れ」と「リズム」が素晴らしい作品で、改めて観ると何気なく丁寧に貼られていた映像的伏線の数々に驚く。

実際に元ネタを辿ってみると、確かに「階段」や「家族構成」、「物語」といった部分の共通点に気づくものの、そこから発展させた部分(特に「格差社会」というテーマや「臭い」の描写)の秀逸さが、より浮き彫りになった。

ところで、日本では、例年、アカデミー賞を受賞した作品であっても、今回ほどの盛り上がりはなかったと思う。

しかし、それでも本作がヒットした理由には、作品の完成度という部分はもちろんながら、パルムドールとアカデミー賞のW受賞という実績、「格差社会」というテーマの時事性(まさか、それが『コロナ』問題で、より現実的に表出するとは誰も思わなかったとは思うが……。苦)、そして、なんといっても物語の骨格が「ホームドラマ」であること(日本のTVドラマ視聴率ランキングでは『積木くずし』や『家政婦のミタ』が上位にランクインしている。)に起因しているのではないかと、ふと思った。

ということで、白黒版として、再度、鑑賞したことで、より作品の完成度に気づかされた本作。
夏には、監督の過去作『母なる証明』の白黒バージョンも発売されるそうなので、そちらも合わせて観たくなる一作だった。

参考
『パラサイト 半地下の家族』白黒版を公開する理由:なぜ今モノクロか?|NO キムチ、NO LIFE.
https://pandafujin.com/movie-parasite-blackandwhite/
(まとめ方が、すごく分かりやすい……。)

「ポン・ジュノ傑作選 Blu-ray BOX」7月22日発売!「母なる証明」モノクロ版本編が初ソフト化 : 映画ニュース - 映画.com
https://eiga.com/news/20200529/1/
(単品も売ってくれるところはありがたい。しかし、高い。笑)

2024 5/2 追記
#シリーズ:白黒ver を追加致しました!
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