新潟の映画野郎らりほう

ヤクザと家族 The Familyの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
3.5
【Yakuza to Kazoku】


工業地帯排気筒に燻る排煙。男達の口元の紫煙。ボンネット上 立ち昇る白煙。
「ヤクザ」と共に、この20年で益々 「社会悪」の認識進む「温室効果ガス / 受動喫煙 / ガソリンエンジン」だ。
それら“煙霧”は、力強く 立ち昇り 広がったかと思えば、瞬く間に消えて逝く。
どんなに強がり抗おうとも、もう社会に存在してはいけないもの/出来ないもの ― “ヤクザの運命”をも表徴しているだろう。

白煙上がる車両から焼香への繋ぎ。後景の工場煙突から 前景:墓参へのティルト移動。“煙霧”は、即時的社会項目提起の隠喩に留まらず 情緒醸成としても機能する。

その最たるものが、食卓上の暖かなスープだろう。
安寧示すかの様に立ち込めるスープの儚げな“湯気”は、同時に “消え逝くもの”への暗示でもある。




ヤクザの境遇は勿論、家族とゆう共同体さえもが 既に消え逝く幻想に過ぎず、故に ヤクザ者達の 誇張/儀式化された擬似親子像に 羨望にも似た感情を覚える。
ヤクザとゆう狭義に 家族の広義普遍を見た。





《劇場観賞》