Hiro

ヤクザと家族 The FamilyのHiroのレビュー・感想・評価

ヤクザと家族 The Family(2021年製作の映画)
4.0
“お前はまだやり直せる。”

そうです、“男が男に惚れる”という
言葉はこの作品から生まれたんです。
我々が持っていた「ヤクザ」という
”概念”はこの作品を境に一新される
のではないか?”反社会勢力時代”の
史実をこんなにも切なく描くとは。

3つの時代を軸に極道の世界に足を踏み
入れた一人の男の壮絶な人生を描いて
いる。ヤクザの親分に拾われ、初めて
自分の”居場所”を見つけた主人公が
暴対法の施行でヤクザの置かれた境遇
が一変する中で己の”矜持”を貫こうと
もがいた不器用な生き様を描く。
これは”令和版”のゴッドファーザーです。

生臭い抗争などから描くのではなくて
“家族”から描く作風で素直に入り込めた。
そして作中では”煙”の演出がやけに多い。
彼らは社会でまるで煙のような存在で、
煙たがられ社会の隅に追いやられている。

昨日があって、今日が来て、明日が来る。
この三つを静かに繰り返し、そして何の
“遺恨”も残さず自分の人生を全うしたい。
この作品を観て、そう強く思いを固める。

世の中が想像した"パブリック・イメージ"。
それをスルスルとすり抜けて、新しいことを
楽しむ事が自分には”豊か”だとここ数年は
考えている。周りからはどんな目で見られ
ようが”あいつはこんな奴だった。”と後に
笑って語られる様な“生き様”でありたい。

p.s.
この作品の主題歌“millennium parade”の
FAMILIAのPVも映画とシンクロした世界が
描かれている。”野辺送り”という行事に
フォーカスされていて煙が常に参列する
人々の後方に流れていく様子は残された
人々の中にいつまでも生き続け世代を超えて
”連鎖して行く”様を伝えているのだそう。
常田さん、これはあまりにもかっこよすぎ
Hiro

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