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亡国のイージスのQTakaのネタバレレビュー・内容・結末

亡国のイージス(2005年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

冒頭のナレーションが一気に映画の中へ引き込んでくれる。

「『イージス』すなわちギリシア神話の無敵の『盾』の名を持つイージス艦こそ専守防衛のもっとも具体的な形でさえ有る。しかし、あえて言おう。国としての有り様を失い、語るべき未来の形も見えないこの国を守る『盾』になんの意味があるのか。
現状のままでは、それは、守るに値する国家を失った、まさに亡国の『盾(イージス)』でしかない。」

単なるアクション映画では無いと言う事をまず知らされた上でストーリーが始まるのは、この物語が如何にしっかりとした物であるかを示している。
だから、黙ってこの展開に身を任せる事ができる。

錚錚たる出演者が演じる役は、いずれも、どのカットでもはっきりとしていて、その一つ一つが、なるほどと思わせる展開が、二度三度見てもなお面白さが増してゆくのがすばらしい。
無駄がないなんて言うとおこがましい気がするけど、本当にそういう感じがする。
確かに、軍隊物ですから、動き一つ一つにメリハリが有るのはもちろんの事なのでしょうが、それ以上に、脚本にスキがないんでしょうね。
あるいは、原作からそうなのかもしれません。
やっぱり、原作読まなきゃならないですね。

おそらく原作を読むと、映画の中で出てきた気になるセリフを確認できるのかもしれませんね。
たとえば、
「戦後60年。日本は、太平洋と東シナ海の狭間で、ただ浮かんでいただけだ。
平和だったら、それで国って呼べるのか。」
「平和って、戦争の隙間に生まれるものだと、俺は思っているんだ。
この国は、60年も、その隙間にいるんだ。俺は、それでいいと思うよ。」

実際、この映画から感じたのは、一体、私たちは今どういう時代を生きているのだろうと言う事ですね。
早速、原作本を調達します。
ということで、とても考えさせられる映画でした。

もう一つ。
伏線なのでしょうけど、『絵筆』ですね。
規律の中で、組織の中での関係だけではない何かをそこに表現したのでしょう。
とても印象に残る表現ですね。
そして、最後に送られてきた絵がこここから先へ繋がる希望を感じました。
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