結局カレー

あのこは貴族の結局カレーのレビュー・感想・評価

あのこは貴族(2021年製作の映画)
3.7
東京に馴染みはないけれどあれだけ狭い土地にたくさんの街があって、生きてる人たちの暮らしやみてる世界が十人十色なのは地方暮らしの身からすると異色の地でもある。相入れない層が出会わないように住み分けされた街。大都会・東京の地から観る景色が必ずしも広いわけではないらしいけど、世を動かしているのは結局東京だもんな。

”育ち”って自分で選べるわけじゃないのに人格を形成し常識を培ういわば人間の初期設定。もちろん努力や怠慢で育った環境とは全然違う方向へ進むこともあるけれど、植え付けられたものを引っこ抜いて自分の中に新しい苗を植えるのって難しい。うん、今の私は難しく思う。でもその設定なんかも無視してなんとかコース変更したい、バージョンアップしたいと思ってる人たちが東京の養分になることも覚悟して戦ってる人がいっぱいいるんだな。すげえな。私は初期設定にとらわれてるのかなぁ。

タクシーと自転車だったらタクシーの方が早いし楽だし遠くへ行けるけど、自転車でしか見れない景色があったり渋滞する車の傍ら自転車の方が早く到着したりペダルを自分の足で漕ぐことこそ楽しかったりもする。だから自転車に乗れることは誇らしくもあり、結局「タクシーから自転車に乗り換える」ことは「自転車からタクシーに乗り換える」よりも容易いという事実がやるせなくもある。華子と美紀が再会するシーンからそんなこと考えてたな。格差違いのないものねだりは同等に語ることが難しいよね。

感想めちゃくちゃ抽象的だけど、とりあえず親友・逸子ちゃんの境地に行きたいってカンジ。