馬井太郎

最高の人生の見つけ方の馬井太郎のレビュー・感想・評価

最高の人生の見つけ方(2007年製作の映画)
3.5
今現在は、どう変化しているか不明だが、何年か前まで、「死」をどのように迎えたいと望むか、というアンケート統計で、日本での1位は、心臓マヒ・脳卒中などでポックリ死にたい、というものだった。苦しみたくない、いさぎよく、ぱっと散り去っていくことを願っている。
これに対して、欧米でのトップは、「癌」だった。理由は、「死」まで、ある程度の時間があるから、これだけはやっておきたいこと、生きているうちに残したいものを整理する、のだという。もちろん、手の施しようがない、末期ガンでの宣告だ。日本では、本人には告知しないという慣習・文化が、いまもあるだろうか、わからないが、文化の違いを実感するところではある。
さて、もし、自分がこのような宣告を受けたら、どうする? 大いなる資産・不動産・妻・子どもたち・・・何もなくて、裸一貫ではあっても、それまでの時間は、想像するに、眠ることもできない、耐えられない時間になるだろう。

この映画は、それを真剣に取り組んで、見せてくれる。相当な資産家の話だから、私には、大いに当てはまらないが、それは別として、「死」までの時間をどのように過ごすか、無関係で笑ってはいられない。

この文章を書いているのは、2015年3月11日。東日本大震災から、ちょうど4年経った。およそ1万6千人もの人々が亡くなり、さらに、いまだ多くの行方不明が残されている。
人間は、いつかは死を迎える。せめて、布団のなかで、迎えたいと願う。

大震災犠牲の方々に、あらためて、ご冥福をお祈り申し上げる。