ゆめちん

アンモナイトの目覚めのゆめちんのレビュー・感想・評価

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)
4.0
アンモナイトの目覚め
 
1840年代のイギリス南西部ドーセット州。海沿いの町で暮らす古生物学者のメアリーは、世間との繋がりを断つ生活を送っていた。そんな折、あるきっかけで裕福な化石収集家の妻・シャーロットを預かることに。
 
冒頭、床を拭いていた掃除婦が、大きな化石を運んでくる男たちに慌てて道を空けるシーン。これだけで本作の真意がはっきりと伝わってくる。
 
女性同士の激しい愛には海辺がよく似合う。男社会に埋もれた古生物学者と心に傷を負う若妻。年齢や身分、住む世界も違う二人が、様々な感情の揺らぎを経て、ゆっくりと惹かれ合っていく様が丁寧に描かれる。
 
ケイト・ウィンスレットとシアーシャ・ローナン、二人の女優の情熱的で大胆かつ繊細な演技に釘付けになり、ワンカット長回しの二人の妖艶シーンは、ただただ息を呑むばかり。
 
特にメアリーを演じたケイト・ウィンスレットの複雑な感情を台詞なしで表現する演技は圧巻。メアリーが軟膏を貰いにある家を訪れるシーンで、この家の女主人との間にかつて何があったのか、視線と雰囲気だけで伝わる演技は見事。
 
観るものの想像力を掻き立てるラスト、"燃ゆる女の肖像" とはまた違った味わいの余韻が残る。

上映館少ないですが、二大名女優の演技合戦を映画館で是非。
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