Jun55

FLEE フリーのJun55のレビュー・感想・評価

FLEE フリー(2021年製作の映画)
4.3
アフガニスタン人の生死をかけた亡命についての事実に基づくアニメーション。ドキュメンタリーのカテゴリーにも入る。

デンマークの映画だが、難民に対する受け入れ国の対応について、強いメッセージ性がある。(テーマとしては、広く、LGBTを含めた社会の寛容性ともいえる)
欧州でも、難民の受け入れについて否定的な世論の高まりがあるのは認識しているが、このように人道的な側面から寛容的な態度を取る北欧諸国には賛意を示したい。
一方、この映画を観て、改めて、G7でもある日本が余りにも難民の受け入れに対して消極的なことを残念に思う。(その意味でも、多くの日本人が観るべき映画かもしれない)

テーマは「Home」。
その存在が当たり前ではない世界があることを、先ずは知らなければならないし、難民の存在は、大昔から存在している訳だが、現代において「国家」が確立する中で、それを、どのように位置づけるのか、取り扱うべきかなのか、国際社会にとって、大きな課題であることを強く意識しておく必要があるのだろう。
少なくとも、他人事として捉えるべきではない。

アニメーションとすることが効果的だと思ったことは、
・当然、ドキュメンタリーでは、当時の実態を”映像”として表現するのに限界があるが、アニメーションであれば、実態をより正確に表現できる。
・視聴者に想像の余地を与える効果がある。
・凄惨な事実を表現するにクッションの役割を果たす。

このストーリーは、ずっとAmin氏の心の中に閉ざされていた。
セラピーの一手法として、心の内を話してしまう、という手法を思い出した。
Amit氏もきっと、この映画化によって解き放されるものがあるのだと思う。

幾つか、工夫が凝らされていて、例えば、アニメーションの中に、当時のニュース動画が挟み込まれていたり、80年代のポップスが使われているところも効果的。

「Sound of Metal」で主演を演じたRiz Ahmedがエグゼクティブプロデューサーを務める。
↓Amin氏!とのインタビュー。
https://www.youtube.com/watch?v=ut92k4If__A
Jun55

Jun55