keith中村

T-34 レジェンド・オブ・ウォー 最強ディレクターズ・カット版のkeith中村のレビュー・感想・評価

5.0
 通常版のみ以前に鑑賞。
 その時は、先の展開が見えないので、ハラハラドキドキしながら観た。
 
 今回圧倒的な長さのドラマパートが追加されたのに、通常版を知った状態で観ると、もうなんだか最初から最後までニコニコ、ニヤニヤ、ニンマリの連続で、こんなに楽しい戦争映画体験ってあったろうか。
 それはもはや「痛快娯楽戦争映画」ですらなく、「ひたすらに可愛い映画」としか思えない域に達している。
 
 それはひとえに、ニコライLOVEなクラウスによるもの。
 もうこれに比べたら、室戸半兵衛もデスラーも霞んでしまう。
 
 白眉は、クラウスが嬉々として「自宅デート」にニコライを誘う場面。
 「イヴシュキンって呼び方堅苦しくない? あ、そうそう。クラウスとニコライ、語源一緒だよね。うん。じゃあさ、二人合わせてニコラウス! なんっつって!」などと照れてヨレヨレの発言をした後に、どさくさ紛れに「ニコライ」と呼んじゃうクラウスさんに観てるこっちが萌え死ぬ。
 もう溜まらん。
 劇場で笑いを堪えるのが一苦労でした。
 
 通常版でのクラウスの最期は結構しんみりしてしまったんだけど、今回はそこすら主役二人に「いよっ! 千両役者!」と掛け声を掛けたくなった。
 クラウスは始終ツンデレなんだけど、ずっと「ツン」だけだったニコライがここで、究極の「デレ」である「ニコラウス!」って呼びかけちゃうところ。なんとも「オム・ファタール」じゃありませんか。
 もう、「それだけでご飯三杯はいけるっす~!」と言いながら逝ってしまうクラウスさんの気持ちがよくわかる。ん? そんなセリフはなかったって? いやいや、俺には聴こえたよ!
 
 本作では、クラウスさんの「ニコライが無理ならせめてアーニャ!」という、「あの子のお気に入りのオモチャをこっそり壊しちゃえ!」の描き込みが増えているので、そこもいじらしい。というか微笑ましい。というか、もうニヤニヤが止まらない!
 
 今劇場にかかっている3時間クラスの映画といえば、大林さんの遺作である超弩級の反戦映画も大傑作なんですが、その対極にあるこっちもやっぱり大傑作ですわ!
 看板に偽りなしの「最強」映画でした。