踊る猫

もう終わりにしよう。の踊る猫のレビュー・感想・評価

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)
3.9
これは新世紀の終活映画なのだろうか? ネタを割るのは本意ではないのだが、この映画を観ているとアメリカという国のくたびれ果て方はとんでもないことになっているのだな、と思わせられる。ポップ・カルチャーのソースの使い方といい(この映画は古き良き時代のミュージカルが隠し味となっていることに留意しよう。つまり、意外と『ラ・ラ・ランド』に近いかもしれない!?)、出てくる登場人物たちがことごとく精神を病んでいるように見えるあたり(彼らは自閉的に独り言を語るだけで、従って会話は噛み合わない)、あるいはデヴィッド・リンチ(どころか……これはもしかしてフェデリコ・フェリーニ的!?)とさえ言える夢と現実の混交を見せるあたり。と書くと大傑作のように聞こえるかもしれないけれど、どうしてこの前半のグダグダ感は流石に全体の仕掛けを考慮しても許せないので事務的に評価すると点は低くなってしまう。色の使い方やカメラワークが単調になっているかのようで実は凝っているところも拾って、しかしこの点数に落ち着いた。30分絞ってもっとキビキビ展開させれば……と書いてしかし、そうすればこのまったり感でしか出せないものが失われるとも思う。痛し痒しだ。
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