ペコリンゴ

そこにいた男のペコリンゴのレビュー・感想・評価

そこにいた男(2020年製作の映画)
3.5
記録。
いつだって愛は根拠など無く、得てして釣り合わない。

鮮烈なる名作「岬の兄妹」の片山監督&スタッフによる新作短編。

クラウドファンディングの支援を受け制作…てのも今の時代珍しくもなくなってきたのかな。クリエイターさんたちのまだ観ぬ作品が世に出る門戸が広がったってのは純粋に素晴らしいよね。

そんな本作、まだ記憶に新しい「あの事件」を模したシーンから始まる衝撃でのっけからガツンとやられる。掴みとしては上々で、どのようなストーリーが展開されるのかという期待を持つに不足は無い。

心のどこかで知っていながらも満たされていたい。こんなにも想っているのだから相手にもそうあって欲しい。

ギブアンドテイクはコミュニケーションの基本的な要素であり、恋愛はコミュニケーションのある種の究極。
そしてまた都合の良くない物から目を背けたくなるのも人間の愚かしくも自然な姿だ。

一見異常で狂気の沙汰にしか見えない愛の形も実の所、純粋に相手と思い合いたい、ただそれだけなんじゃないかなって思ったりもして。

「あの事件」を起こした彼女はどのように思っていたのだろうか。