すいか

ノマドランドのすいかのレビュー・感想・評価

ノマドランド(2020年製作の映画)
4.0
また、何処かで。

働いていた企業はリーマンショックのあおりで倒産し、夫は病死。長年住んだ街が経済的な大打撃を受け、家を手放し「ノマド」となった女性の車上生活を描いた物語。原作はノマドとなった高齢労働者にスポットを当てたノンフィクション作品である。実在するノマドが、実名で登場しているということもあり、フィクションの中にもドキュメンタリー的な要素を含み、見応えある作品であった。ロケ地であるクォーツサイト砂漠や、バッドランズ国立公園等の雄大な風景も素晴らしかった。

主人公の女性・ファーンは、旅をし、さまざまな仕事をしながら現地で出会ったノマドと交流する。仲良くなった人、好意を寄せてきた男性、そして自分を気遣う姉。そういった存在がいても、ファーンはどこかで一線を引いている。心の中には、いつも夫と、夫と暮らした街・エンパイアがあった。そんな彼女が、行き着く場所は…

途中で登場したノマドの女性、スワンキーの場面を観ながら、ふっと思ったのは、「死ぬ時は1人」ということだ。しかし、自分が老いたときに、誰とでも良いから、「さようなら」でなく「また何処かで」と言い合える、ゆるやかな関係を持てていたらいいなと、漠然と感じた。

一回観ただけでは、私にはうまく理解できない部分も多かったが、歳を重ねて、また観たい。そんな作品であった。
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