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赤穂城断絶のkoyamaxのレビュー・感想・評価

赤穂城断絶(1978年製作の映画)
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にわか「忠臣蔵映画」鑑賞。

これまで忠臣蔵を観たことないわけではないのですが、、
刃傷松の廊下
浅野内匠頭切腹
赤穂城無血開城
潜伏時の大石、そのほか赤穂浪士の暗躍
討ち入り
と、イベントは多く、見せ所も決まっているはずなのに、映画として観ると「あれ?どんなはなしだっけ?」とあまり印象に残りにくい不思議な存在でした。


もとはオールスター映画の体裁が多いのか、エモーショナルな忠臣蔵を(まだ)観たことがありません。
(そもそもそんなに観ているわけではないんですが。。(^^;)


今作は出発点として旧来の「忠臣蔵」と全然違う視点の話だったようですが、監督と役者の確執など紆余曲折を経て完成させた結果、、
映画としては、よくも悪くも「忠臣蔵のあらすじ」をなぞった展開となったようです。


良いところは、一通りのエピソードを入れているというところです。
忠臣蔵の流れで何があったかわかります。


あまり良くないところとしては、
赤穂事件史実の資料の隙間から垣間見える人間くささや、悲劇性、武士のやむにやまれぬ信念の貫徹など、「心情」は掘り下げられておらず、各キャラクターが何を考えているのか、よくわからないというところがありました。

少なくとも、個人的には、「お前のくやしさ、本当によくわかった」というようにはなりませんでした。。。

理不尽な出来事に立ち向かう人々の苦悩、反抗。
主君を失った落ち武者の悲しさ、それでも立ち向かう自己犠牲のいじましさ「口に出さずともわかりあえる想い」
個人的には、このあたりが忠臣蔵で心震えたいエモポイントなのかもしれません。


そもそも浅野内匠頭の吉良上野介に対する遺恨がなんだったかわからないのですね。
このあたりは実際もミステリアスなままなので色々な想いを馳せる魅力にもなっているとおもいます。
ただ、映画の流れにおいてさえも「事象しか描いていない」ので、松の廊下で嫌味を言われたぐらいで刀を抜くことにはさすがにリアリティは感じず、なにかしらの映画なりの「真実」となるものが知りたかったです。


深作監督は後に「忠臣蔵外伝四谷怪談」として忠臣蔵映画を作り直していますが、それと比べても、今作のほうは実録的な俯瞰視点も、心情のリアリズムや、ダイナミックな描写も少なくあまり深作映画っぽくもない気もします。


吉良邸隣に住む三船敏郎演じる土屋主税の心意気を描いていたところは、短いながら一番印象的なシーンだったかもしれません。
わからないところも多いので、他の忠臣蔵映画も見比べていきたいとおもいました(=_=)


主演の萬屋錦之介自身はキャラとしてちょっとずっこけそうになるくらい濃厚なので面白かったです(^^;
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