うみぼうず

ニューオーダーのうみぼうずのレビュー・感想・評価

ニューオーダー(2020年製作の映画)
4.0
滑り込みセーフでギリギリ映画館鑑賞。最終日だからかけっこう満席近い。
上映後すぐに離席する人もいたが、エンドロール後すぐに立ち上がる気にならず放心状態。たった86分だったの!?と思わせるくらい濃密。これはすごいな…。
『クローバーフィールド』のように全体像が見えない中 どんどん進んでいく恐怖。しかも真相は特に解明されないモヤモヤ感、さらに誰も救われない絶望。

Jホラーの『感染』のように、緑と赤が逆転しているのかな、などと思ったり。ラストに映るメキシコ国旗🇲🇽がそんな気にさせる。この緑は血であり逆転現象の象徴なのか。主人公の一人であるマリアンの赤い服もまた映える。

人間性が極力排除されている新世界秩序、とても恐ろしいなと。就労に行く際の消毒、IDカード、手荷物検査。それらに黙って従うだけのマルタとクリスティンが不気味にも思える。管理社会の行き着く先の一つなのかもしれない。

「やはり暴力、暴力が全てを解決する」と言わんばかりではあるものの、主従が逆転(というかない世界)だと思えば軍についても理解できるのかもしれない。本来民衆を守るための軍、言ってみれば主は国民だが、少しでも道を誤るとこうなってしまう危険性の示唆も感じた。
考えてみるとこれだけ暴徒がいるにも関わらず何らかの秩序ある日常があることもずっと違和感だったが、やはり。

さらに主人公達が他人を慮って取った行動が全て裏目に出る理不尽さ。これからの個人主義、現在起きている 自分さえ良ければ…という考え暗に批判しているのかなと。

冒頭からちょっとした会話やサイレン、ヘリコプターの音で不穏さを煽る演出や、人間味の無さ躊躇いのなさなどとてもリアリティもあり(CG以外)、すごい作品だった。
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