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真夏の夜のジャズ 4Kのalmosteverydayのレビュー・感想・評価

真夏の夜のジャズ 4K(1959年製作の映画)
3.5
身体的にものすごく疲弊していて、何なら観ながら寝ちゃってもそれはそれで気持ちよさそうだな〜なんて思ってこの作品を選んだんですけど、全然寝てる場合じゃなかった。めちゃくちゃエキサイティングでした。

とは言え、序盤のセロニアス・モンクやアニタ・オデイあたりまではまったりシックな雰囲気で、オーディエンスもデッキチェアに深々と腰を下ろしてしたり顔で腕組みなんかしちゃってるくらいの感じでそこそこうとうとできたんですよね。だけど、どうやらこちらのフェスティバルは日が暮れてからが本番。夜が深まるにつれ、ぐんぐん熱を帯びていく演奏がたいそう気持ちよかったのでした。

演奏に引けを取らないくらい、ていうか何なら半々くらいの配分でもってたっぷり尺を割いて映し出される客席の様子は端からぜんぶおそろしいほどスタイリッシュで、グッドルッキング富裕層としか言いようのない面々がこれでもかってほど記録されております。これ、1958年の風俗資料としてもかなりの価値があるんじゃなかろうか。ベロベロに泥酔してそうなメンズの熱い抱擁、めちゃくちゃ様になってた。4Kすごいわ、総天然色。

そんなこんなでステージの上でも下でもコーカソイド&ネグロイドがひしめき合う中、ひときわ目をひいたのはルイ・アームストロング・オールスターズのドラマーでした。弾けるような笑顔でスウィングしまくるそのジャズメンは、ぱっと見ぜったい東アジア系のはず。あまりにも気になりすぎて調べてみたところ、彼の名前はダニー・バルセロナ。ハワイ出身のフィリピン系アメリカ人で、07年までご存命だったそうです。すっごい格好よかったな〜!演奏を終えたチャック・ベリーが深々と頭を下げたところにもグッときました。眼福、そして耳がとても豊か。よいものを観ました。
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