ゴン吉

ベイビー・ブローカーのゴン吉のレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
4.2
子どもを育てられない人が匿名で赤ちゃんを置いていく「ベイビー・ボックス」をとりまく人々を描いたヒューマンドラマ。
是枝裕和監督が脚本も担当し、ソン・ガンホが主演、カン・ドンウォンとイ・ジウンが共演。

借金を抱えたクリーニング店を営むサンヒョン(ソン・ガンホ)と、ベイビー・ボックスのある児童施設で働くドンス(カン・ドンウォン)は、ベイビー・ボックスに捨てられた赤ちゃんを密かに手に入れて売っていた。
ある雨の晩、若い女性ソヨン(イ・ジウン)がベイビー・ボックスの手前に赤ちゃんを置いて立ち去っていく。
ドンスたちは売買するために赤ちゃんを持ち去ってしまう。
しかし、ソヨンは翌日思い直して赤ちゃんを取りに戻ってくる。
やむを得ず、ドンスたちは赤ちゃんを盗んだことを白状し、一緒に赤ちゃんを大切に育ててくれる夫婦を探すことになるが…

アメリカではつい先日の6月24日に連邦最高裁が中絶を違法とする判決が下され、たとえレイプで妊娠した子であっても中絶できなくなった。
一方、日本では出生前診断で遺伝病がわかれば簡単に中絶できる。
社会背景が違うので比較はできないが、出生と中絶は生まれてくる子供にってどちらが幸せなのかは永遠のテーマ。
レイプによりできた子であるが故に親から愛情を注がれない子。
遺伝病により一生苦しむかもしれない人生。
子供が欲しくても授からない夫婦。
さまざまな理由で子どもを育てられない母親。
本作品は、母親がなぜベイビー・ボックスの中ではなくその手前に赤ちゃんを置いていったのか、そして赤ちゃんブローカーの真意が徐々に浮き彫りにされる。
そして日本にも赤ちゃんポストがある現実。
是枝監督には、この作品を日本を舞台に作ってもらいたかったです。
「生まれてくれて有難う!」 

2022.6 劇場にて鑑賞(字幕:根本理恵)  
第75回カンヌ国際映画祭にてコンペティション部門男優賞を受賞(2022年)
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