よしまる

ベイビー・ブローカーのよしまるのネタバレレビュー・内容・結末

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
2.7

このレビューはネタバレを含みます

 是枝監督の苦手意識も韓国勢が吹き飛ばしてくれるはず!と、期待してみたけれど、やはり玉砕。

 以下、ネタバレのみならずお読みいただく方によってはたいへん不快な思いをされる可能性がおおいにありますのでひさびさにバリケードを立てておきます。






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 これ、なんで韓国で撮ってるんだろう?ソンとカンとぺに出てもらうには行って撮った方が早いからってだけのように見えた。そのくらい韓国で、韓国語で撮ってる意味がわからんかった。

 おかげで、何も言わずとも情景や表情で語らせる是枝演出(好き嫌いは別として)は損なわれ、合ってるのか合ってないのかてんで想像もつかない翻訳は説明的なセリフに終始する。
 結局、せっかくのソンやカンの名演技もありがちなセリフを言わせてしまうことでその味が生かされず、例えて言えばものすごい歌のうまい歌手が安っぽいJ POPを歌っているとか、めちゃ美声の声優さんがクソくだらないラノベを朗読しているかのような違和感があった。
 この感覚、ちょっと細田守に近いよね💦

 韓国で、ということが災いしたのかどうかはわからないけれど、物語も人物像もものすごく薄くてありえないほど浅い。
 ソンやカンがどのように売買を行ってきたのかもわからないし、IUがどんな目にあって殺人に及んだのか、なぜ子供を手放さざるをえなかったのか、まったく入ってこない。唯一、子供が産めないであろうことが語られずとも想像がつくペの心の動きだけは迫るものがあったけれど、それはボクが「子猫をお願い」以来、ポン作品等でファンだったから贔屓しているw

 ヤクザ絡みの話も、ウソンの父の奥さんも、どういう狙いで絡めてきたのか、中途半端すぎて見えてこない。サスペンス仕立てにしたいのであれば、韓国なら日本で撮れないような大胆なアクションも入れられたはずなのに、追いつ追われつみたいな起伏も一切なかった。

 いっそロードムービーと割り切って、里親探しの中で各々の役割や考えが揺れ動き、次第に家族が出来上がる、みたいなシンプルな話で良かったんじゃないのか?
 でもそれじゃ単なる「万引き家族」の焼き直しだもんね。

 赤ちゃんボックスにまつわる、社会のどうしようもない歪みに胸が詰まるような作品を期待していたら、殺人者が子育てを放棄して、借金苦がゆるゆるなヤクザに追われ、なんだかよく分からんけどとりあえず「生まれてきて良かったね」という話だったので、「ふーん」ってなった。

 以上、敬称略。