サラリーマン岡崎

オールドのサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
4.4
「どんでん返しのシャマラン」から「哲学のシャマラン」へ進化しているのがわかる一作。

もともとのシャマラン自体もどんでん返しをやりたかったわけではなく、
哲学映画を作りたかったんだと思う。
『アンブレイカブル』なんてまさにヒーローの哲学を語っており、『ミスター・ガラス』まで作るほど、シャマランが伝えたかった哲学が詰まっている。
デビュー作の『シックス・センス』だって、そのどんでん返しこそが目立ってしまったが、遺された者・遺してしまった者の哲学を語っていたと思う。

話に出てしまったが、『ミスター・ガラス』でシャマランが世界に語りたかった哲学を3部作というダイナミックなかたちで表現した後の本作、
まさに哲学方向へ進むのだとわかる一作だった。

正直ネタの部分は多少の雑感はある笑。
でも、それよりも、一生を縮図にして、人生という抜け出せないゲームの中でどのように生きるのかを伝えたいという意思だと思う。
プライドや地位・見た目が、老いると何も意味がなくなってしまうことの儚さ、
ゆっくり過ごす余生の中で感じるパートナーへの想い、
老いることは怖いことでもあるけども、人間を取り戻す機会でもあるのかもしれない。

コロナ禍、隔離される中で、今までと違って人生を考える場面が多く出てくる時代。
シャマランも多くのことを考えたかもしれない。
そんな彼の哲学を今後もたくさん知っていきたい。