B5版

オールドのB5版のネタバレレビュー・内容・結末

オールド(2021年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

やっと見れた。
CMにはめっちゃワクワク。
人間の生老病死への根源的な恐れを、プライベートビーチという密室で可視化することでホラーの恐怖と融合させるアイデア、すごくゾクゾクした。

しかしシャマラン監督のアイデアを一枚絵にした時の天才的なセンスに、それを元に世界観を構築する作業のレベルがおいついておらず、結果それなりの出来になるのが残念…描きたくないとこは雑に説明したりして片付けちゃうやり方は好きじゃない。
SF作家がなんで鉱石に詳しいんだよ。

ホラーといえば他にはアリアスター監督くらいしか観ない浅学ですが、
この二人割と似てるけど決定的に違うのが現実世界との境界線の線引きのうまさではないかと感じた。
両者とも巷の超常現象を実在する人の業と結びつけて捉え直す描き方をしているが、
人物の行動の説得力が段違いというか。

例えば「ミッドサマー」もたいがい〜とは思ったが、
土着的共同体と利益を求める企業とでは、大いなる目的への一体感も反人道的な行いへの拒否感についての説得力も異なるだろう。90年に一度人が消えるのと二桁の人間が定期的に消えるのもまた同様。
こういう紙一重の細かなリアリティラインの設定はそのまま映画への没入感を大幅に変えるものだと思う。

しかしアイデアが生まれてからその後数年は金集めと製作に費やすであろう昨今の映画作りにおいて、リアリティを求める考え方については、
スマホの普及がトリックを決定的に無効化したり登場人物の行動へのノイズとなってしまったように、封切り前には成り立った脚本があっという間に違和感を宿す現代社会特有の弊害も鑑みる必要があるのかもしれない。

とりあえず、M・ナイト・シャマラン監督の最新作が耳に届くたび「シックスセンス」の幻影を追い求める行為は、いい加減やめよう(自戒)
あの作品の監督っていう固定観念が外れないからきちんと楽しめないんだと思う。
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