へたれ

皮膚を売った男のへたれのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
2.6
良かったとこ1 エモくてスタイリッシュな演出
まず、オープニングの列車の中でのプロポーズが、現実離れしつつも多幸感に溢れていて、エモさがよかった。
美術業界のシーンでは、左右対称や鏡による反射を多用して、無機質さと迷宮感を出しているのも良かった。

良かったとこ2 企画にこめられた皮肉
ビザの発行すらまままらない難民に、ヨーロッパを自由に行き来できるシェンゲン協定のビザのタトゥーを入れるという皮肉や、人間としての移動の自由はないが、商品としてであれば国境も跨げるという矛盾は面白かった。

ダメだったとこ 深くも広くもないストーリー
まず、難民問題と美術業界への批評のどちらについても、一面的な見方を浅く描いているだけ。特に美術業界については、出てくる人たちが「誰もが想像しうるスノッブな人たち」そのままなので、誰一人として魅力がない。
さらに、世間の批判のような要素を匂わせはするものの、そこにも深入りしない。
そして、取ってつけたような強引なラストのヒネリ。
むしろハリウッドでリメイクした方がまだマシなストーリーになるのではと思うぐらい幼稚だった。
へたれ

へたれ