このレビューはネタバレを含みます
最後までいまいちどう展開するのか分からなくてハラハラし通しで迎えたクライマックス。面白いことに、男女ではなく男男版『羊たちの沈黙』的なものを感じました。
まるでレクター博士とクラリスのような不思議な絆で繋がっている不思議な運命を描いたお話。
たまたま乗っていたハイウェイでたまたま殺人鬼を乗せてしまうウブで不運な青年のお話…と途中までは見えるんですが、画はハードでかっこいいしクライムサスペンスとサイコスリラーがいい感じに混ざっているしで飽きなかったな〜
渇ききった荒野でのカーアクションってのも最高だったし、80年代のファッションに寂れたモーテルやスタンドっていうのも味わいたっぷりです。
はじめはクリクリお目目で怖くて震えていた主人公のジムでしたが、困難に巻き込まれ誰かが犠牲になる姿を目の当たりにするたびに表情が翳り、終いにはまるで渋いおじさまの如く哀愁を漂わせ始めます。
終始ニヤニヤ笑っているサイコな殺人鬼ジョンは名優ルトガー・ハウアーの演技が光っていました。運命の人を見つけた瞬間から、ラストシーンに至るまでの怪演は必見です。
あくまできっかけはヒッチハイクなんですけど、ラストまで見るとなんとなくジョンによって用意されていた旅だったのではと思えます。
彼の車に拾われて、”自分を殺してくれる唯一の人間”に出会ったジョンとそれに徐々に気付き始め、抗おうともがくジム。
レクター博士がクラリスにのみ見つけてもらうことを望んだように、2人にもそんな呪われた縁があると思わされ、その深さにゾッとしました。