新潟の映画野郎らりほう

ドリームランドの新潟の映画野郎らりほうのレビュー・感想・評価

ドリームランド(2019年製作の映画)
3.5
【メモワール】


母(の分身)を巡る父と子の闘い。


遼遠の地で理想/偶像化される実父の存在と、継父故に増幅する確執/軋轢に依り 立ち上るエディプスコンプレックスの主題。
男児の生涯最初の恋愛対象である母親(初恋)と 男根期(童貞)故に右往左往する ペニスの行く末。高圧且つ絶対的父に依る被虐(去勢)の恐怖。

母の瑠璃色の“ワンピース”が、父子二人で母を“分け合う”事が不可能な暗示(ノットツーピース)である事は最早論を俟つまい。


母(の分身)を“永久化”(競合相手に絶対渡らぬ様にし 愛を未来永劫独占)するのは 父子何方の手で為されるのか―。

少年は、“理想の男”を追い求め 家を出て行くのである。




〈追記〉
妹の回想録の筈だが、マーゴットロビーのフラッシュバックや フィンコールの羨望/渇望も可視化されており(つまり回想の回想)大いに整合性を欠く。
然し 劇中には、年齢詐称 / 公権力の情報操作 / 書籍化された英雄譚、等々 “真実(とされるもの)”の不確実性に満ちており、作品それ自体が 妹の願望=ドリームである事を仄めかす。

そんな〈夢想〉故に、前述した 作品真主題〈深層心理〉も強く得心出来た。




《劇場観賞》