かつきよ

ブレット・トレインのかつきよのレビュー・感想・評価

ブレット・トレイン(2022年製作の映画)
4.9
●B級映画の皮を被ったA級映画

かなり面白かった!!
個人的には刺さったし、満足度もかなり高かったけど、若干人を選ぶ映画なので、そのあたり含めてレビュー!
お金かけられてるのがすぐわかる豪華さだし、俳優陣の演技もいかしてるし、思ったよりストーリーも設定も映像も丁寧に作られていた映画だったので、気になってる人は是非見てほしいと思える良作映画でした!
エンタメ映画として100点満点……!

●あらすじ

不運な殺し屋レディバグ(ブラピ)がケースを持って電車から降りたいだけなのに、いろんな人に邪魔されていつまでもどこまでも電車から降りることができない……!!
電車の中には何故か古今東西の殺し屋が乗り合わせていて、それぞれの目的が交錯し、カオスを極めていく……
列車の行き着く先に待ち受けるものは……!笑

●オススメポイント

・10人の殺し屋が入り乱れる群像劇
・キャラ物としてのインパクト
・タランティーノ的なユニークさ
・ガイリッチーみが溢れるザッピング

パルプフィクションとかレザボア・ドッグスリスペクトしてるよね!?というような群像劇。キャラ感もどこか通じるものがあらます。
ガイリッチー映画ならロックストック、スナッチ、ジェントルメンあたりが好きな人は刺さるはず!
おふざけ感、キャラクターの魅力、過去の事情や展開がどんどん次につながっていく話運びの感じがたまらない!!
キャラクターの設定はアニメっぽい雰囲気。そのままアニメ化しても面白いと思いんじゃないかなと思うくらい印象的でユニーク!
機関車トーマスから人生観を学んだ殺し屋だったり、優等生風な女子中学生くらいの子が実はサイコな殺し屋だったり、設定だけでくすぐられます!
トーマス好きは伊坂幸太郎さんの原作からそのまま流用してる設定みたいですね。ガラッと雰囲気やキャラ設定を変えてる映画化なのに、そこを生かす選択した監督笑

・伊坂幸太郎原作
・ネオ東京のぶっ飛び世界観

伊坂幸太郎さんの原作は未読なので比較は難しいですが、日本原作が海外映画として制作された各国の要素のミキシングの化学反応が絶妙で、唯一無二のカオスに仕上がったんじゃないかなと思います。
伊坂幸太郎原作の映画って(原作が面白いから)基本ハズレがないイメージなんですが、漫画っぽい感じはむしろ邦画より洋画の方が向いてるんじゃないかのすら思わせる謎の中毒感。
まさか全編日本が舞台だと思ってなかったけど、出だしから近未来溢れるネオンモリモリの微妙に間違った日本の風景に絶妙な気持ちにされまくりました笑
列車の内装も、大体合ってるんですが、なんか絶妙に近未来っぽいというか、和洋折衷な感じ笑
実際、舞台設定に忠実に作ってリアリティが増していたら、あんなに開放感あふれるやりすぎワクワクなコメディアクションの雰囲気は出せてなかった気がします!
え、日本ぽいけど、ここ絶対日本じゃないwと思えるある意味ファンタジーな非日常感が、作品のリアリティラインの上げ下げに効果的に生きてた気がします。
舞台美術作った人かなり天才!

・全体的にコメディタッチ

殺し屋が暗躍する話で、キャラものとも言えるキャラの魅力とは裏腹にわりと殺したり殺されたり、グロテスクな描写は多いのですが、痛々しいというよりは何故かライトに見えてしまうギャグテイスト。
真剣なバトルの中にもクスリと笑えるやり取りがあったり、命の駆け引きに関してずっしりとした重みはそこまで強く感じられず、エンタメ然としてる作風なのが個人的にはささりました。
もっとハードボイルドでリアリティラインが高い硬派な作品が好みの方には、ちょっとライトすぎるかも。たとえば、MIシリーズより007シリーズの方が好き!って方には軽すぎるかなと思います。

・バリバリアクション
・映像美、迫力

そこまでのクオリティは期待してなかったのに度肝を抜かれた要素!
監督はブラッドピットのスタントを担当していた
バリバリアクション畑出身の方らしく、アクションシーンの迫力やクオリティは十分!見てて爽快感があるし、スピーディーでいちいちかっこいい!間や、ギャグテイストだからこその緩急もあって、見てて食傷になったりダレることがなかったので、2時間あっという間で最後まで楽しく鑑賞できました。
不運オーラと神経症的なキャラクター性、ぱっとしない衣装から、全体的になんとなく頼りなさそうなレディバグ(ブラピ)なんですが、アクションシーンのかっこよさがピカイチでギャップ萌えも狙えるクオリティ!

最初から最後まで映像美は一貫してピカイチ、どこで止めても名作映画の1シーンに思えるような芸術点の高いカッティング、CGや映像効果を駆使した迫力のある映像は、邦画じゃ出せないインパクトをばちばち感じさせてくれて、満足度がとにかく高かったです!

・意外に多い伏線回収

さすが伊坂幸太郎先生原作!
つまらなくはないけど面白くもないレベルのパッとしないB級映画を想像してたら、意外や意外に序盤からかなり伏線が貼られてて、色々な何気ない設定が後々聞いてきたり、あ、そうだったのかーと明かされたりするので、よく練られた脚本だなと思いました。
狭い電車の中で、それぞれのキャラが何を見聞きして、どんな目的を持っていて、どの情報を持っていて、それを元にどんな行動をするのかというのがよく寝られていて、カチッとハマるような心地よさがある作品。緻密な脚本作品が好きな人には割とオススメ度高いです!

・豪華俳優陣
・やっぱりブラピは不滅

なんだかんだと言ってもブラピは不滅……!
アドアストラで久々にブラピを見て、演技力は臨界点!とは思ったものの、好みのタイプの映画じゃなかったこともあいまって「老けたなぁ」という印象が強かったのですが、ロストシティでのちょい役で好感度がまた上がって、今作でまた株が爆上がり!
演技力も表情作りももちろん、ばりばりのアクションシーンもこなせるし、やっぱり顔含め存在がかっこいい……!
今回の頼りなさそうなのになんだかんだ優秀で有能なレディバグさんは、ブラピかなりいい役もらえたじゃん!と謎に嬉しくなってしまいました笑
来日イベント行きたかったー!

・運の描写

これがかなり刺さったポイント!運と運命
不運な殺し屋のコードネーム「レディバグ」
幸運の虫の名前だなんて皮肉が効いてると言いつつ、果たしてレディバグは本当に運が悪いのか?というのが序盤の引っ掛かりポイント
運はレディバグの味方なのか敵なのか……
こういう絶妙なキャラクターの属性の一貫性、刺さるんですよね
ダンガンロンパの苗木くんとか

・選曲センス

洋風アクションなのに突然流れる日本歌謡曲、雰囲気が合いすぎてて笑う笑

●オススメできないポイント

・意外とグロテスク

割とスプラッタなシーンは多いです!
肉片とか、吐血とか流血とか、切断面とか、そう言ったグロテスクな表現が思ったより出てきます

拷問的な感じではなくてギャグテイストなので、割り切ってみれば全然サラッと流せますが、割と敏感な人や苦手な人にはオススメできないのでご注意を!

・推しキャラが死ぬ可能性

キャラクターがとにかくみんな魅力的!
なのに、話の性質上死ぬキャラクター何人かおりますので、好きになったキャラクターが死ぬ可能性は御覚悟を……!!

・コメディタッチなので深さはない

最終的なところまで、設定はかなりしっかりしてるなと思いましたし、リアリティラインから大きく外れずに違和感のない動機や目的、話運びだったなと思って個人的にはかなり高クオリティの映画に思われました。
ただ、全体的にコメディタッチでノリが軽めのギャグ映画とも言えるカオスや勢いもあるので、もっとずっしりくる因果とか因縁とか、深い心理描写、人生観に訴えかけてくるドラマが好みの人からしたらおふざけ映画にしか見えないかも……
ゲームで言うと、ぼくの夏休み4っぽいノリ!ぼくなつは1か2じゃないと……4は邪道!と言う人は多分苦手だと思います


●総評


ハードでかっちりした映画が好きな人は微妙かも
でも、エンタメ映画好きにはたまらないまさかの名作!
暇つぶし以上になると思うから是非見てみてほしい1作品
ぜひ推しのキャラを見つけてください







※以下ネタバレ感想























ーーーーーーーーーーーーーーーーーー








※以下ネタバレ有り











●キャラクター

・レディバグ

ブラピかっこいい〜!!!
政党はカッコイイキャラより、ちょっとクセのあるイケメンの方が映えると思うのは私だけ!?

そもそもこの仕事を引き受けたところから伏線だったのはお見事
運が悪いようで、なんだかんだ最後まで生き残っているし、悪運は強いと言うか……
そもそも、カーバーが体調を崩さなければこの仕事を受ける必要もなくて、危険な目に遭う必要もなかったので、やっぱり不運なのか?

エルダーが言っていた通り、周りの不運を引き受けて周りを幸せにしていると言うことだとするとわりとかっちりハマるものがあって、結局レディバグはカーバーの不運を肩代わりしてるのかな

とはいえは、カーバーは因果応報なんだから殺されてても良かったはず。レディバグは人の負の運命を自分が引き受けて、そのまま覆えす能力があるのかな
だとしたら最強!(本人は可哀想だけど)

・プリンス

女の子なのにプリンス!?
って思っけど、男の子を望まれてたとか、なかなかに面白い設定。原作だと普通に男子中学生らしいけど。
かなり頭が切れるし残酷で、なぜか白い死神を殺したがっている……

男の子を望んでいたの、お父さん……つまり白い死神だったんだなと思ってなるほど納得。
車内で死んでいた「息子」はつまり兄だったと
最後の伏線回収になるほどー!となったキャラクター

なんだかんだこの子はすごく幸運なのは本当だったんだろうけど(何度も危機一髪で助かってるから)
ラストは普通にレモンに轢き殺されてるし、そもそも男に生まれなくて父親に冷遇されてたことは幸運と言えるのか……
考察できる余地があるかなと思いつつ、モヤモヤするキャラクターでもあります
かなりキャラクターが立ってて好きだったので、最後まで生き残ってほしかったー!

・タンジェリンandレモン

レモンいいやつすぎて、トーマス好きのキャラクターもたってるし、その設定そこで生かされる!?ってところできいてくるのも面白かったです。善人(サイコパスは前提)は最後まで生き残るんだな……
タンジェリンもかなりハードボイルドでかっこいいキャラクターだったので生き残ってほしかったー!駅で下ろされてそのまま諦めていたら……

・ホーネット

デットプール2では運がいい役だったけど、今回はブラピに惨敗!
ホーネットがブラピに毒を注射するシーンめちゃくちゃかっこいいけど、差し返されるシーンも好き!
そこで血清を打とうとして奪われる一連のシーンと間がめちゃくちゃ好き

・ウルフ

この人世界的なアーティストなんだ笑

・木村・エルダー

the主人公って感じだけど、若干活躍が正統派だったから印象は弱め
癖のある方を主人公にしたのはナイス改変だった気がします
原作だと木村が主人公らしいですが、もっとキャラクターたってたりしたのかな

・ウォーターボトル

ウォーターボトルの来歴が挿入される演出好きすぎる笑
こんな感じの、小物にも因果がある演出刺さる

・チャニングテイタム

手っ取り早く稼ぎたくない?って聞かれて「SEX的なやつ……?」ってなるどすけべ淫乱笑
カメオ出演なのにキャラ濃すぎて
チャニングテイタム、フリーガイの時もそうだったけど、こういう役多くない!?笑好き笑


【参考】

https://eiga.com/news/20220903/2/

基本情報がまとまってるサイト

https://filmaga.filmarks.com/articles/189537/

インタビューとか

https://nyanko-movies.com/bullet-train/

まとめ
かつきよ

かつきよ