かつきよ

劇場版 ルパンの娘のかつきよのレビュー・感想・評価

劇場版 ルパンの娘(2021年製作の映画)
3.8
面白かった!!
続編としては過不足なく満足度が高い一方で、劇場版としては脚本もキャストも全体的に豪華さや特別感はなくて、あくまでドラマの続きに落ち着いた作品。ドラマファンなら必見だけど、過度な期待は禁物。

まず、大前提としてこの映画はドラマ版の「ルパンの娘」シーズン1(11回)とシーズン2(9回)の全20回視聴済みなことが大前提なので、映画版から見ても出来上がってるノリについていけないです。簡単なおさらいはあるけど、必ずドラマ版を視聴してからじゃないと楽しめないので、見てください!映画版だけ見るくらいなら、見ない方がいいですよ!

ドラマ版のノリの延長線なので、映画ですごーーーくシリアスになったり、ぐっと重くなったり、脚本がすごく繊細で緻密になる事は無し。
ドラマ版のあの微妙に真面目だけど全体的にゆるくてギャグ満載でおちゃらけたノリが、パワーアップすることもなく、同じくらいの強度で展開します。続きが見られるだけでファンとしては満足度が高かったけど、劇場版だからと言っていつも以上のものを期待しちゃだめ!
これくらいだったら、普通に枠とって特番でやった方が身の丈にあっていたんじゃないかなぁとは思いました。

完全新作の1話完結のストーリーというわけではなくて、飽くまで尻切れで終わったシーズン2のラストのそのまま続編で、放置されていた美雲の父を殺した犯人や、隠され続けてきたもう1人のLの一族「三雲玲」との決着を描く物語。シーズン1が11話、シーズン2が9話だったので、感覚としてはシーズン2の未放送のラスト二話をちょっとだけお金かけて作りましたって感じ。

外国が舞台になり、笑いあり涙あり、アクションもあるし歌と踊りももちろんあって、オールスターキャストなので大団円のラストではあるけれど、「豪華」劇場版と呼ぶには少し豪華さに欠ける印象。
同じドラマ原作の劇場版でも、コンフィデンスマンとかはもっと豪華でお金もかかってるし派手だし……

ルパンの娘は、劇場版というよりは豪華版は豪華だけど、規模的にはドラマの続編をそのままやってる感じが抜けないのが若干残念だったかなぁ。
もともと演出に関してはドラマ版の時から派手だったしユニークで頑張っていたので、劇場版が足りなかったというよりは、連続ドラマ版がすでに豪華だった、とも言える。だちらにしろ、これだけやってくれれば十分と言う気持ちもあります。

あとは、大団円的な作品として十分豪華ではあるけど、ルパンの娘の集大成というレベルかと言われるとまた微妙なところ。欲しかった展開は一通り全部揃ってはいるものの、桜庭家の活躍が無かったり、あんちゃんの活躍もドラマ版と大差ないレベルだったりと、物足りなさは若干。美雲ちゃんやおじいちゃんも完全についてきただけで大した活躍してないし、全員が参入して全員いなくては成り立たなかった大作戦とか大活劇とか、ドラマでは見られなかった特別な活躍、展開、能力とか、そういう集大成然とした脚本ではなかったのが残念。
橋元エミリとか、巻さんとか、ドラマ版で準レギュラーだったり印象的なキャラクタが出てこなかったもの残念。欲を言えば田中みな実さん演じるセクシー女怪盗双葉さんとかもまた出てきて欲しかったし、なんなら吉田沙保里が出てたり、ゲストがネタに走ってて豪華だったドラマ版の時の方が毎回新鮮さがあって面白かったぞー。

シスター殺し屋のナターシャについても、せっかく印象的な2期ラストだったのに、ただ敵ってだけで大した掘り下げがされなかったのが残念。最後どうなったのかも謎だし






以下、ネタバレ有り感想













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ネタバレ有り












◆美月ありさ演じる三雲玲

パンチが効いててよかったけど、いまいちキャラの掘り下げが足りずに、行動原理に説得力がなかった。
Lの一族を恨んでるのはわかるけど、だからって根絶やしにする意味もないし、自分と同じ苦しみを味わってもらうために何かするとかの方がまだ理解できた。
おじいちゃんとマツにとっては玲は娘なわけだけど、そこに対する家族愛とか、後悔とか、絆とかも感じられなかったのが残念
せっかく面白いキャラ設定だったのに、ただの黒幕って舞台装置で終わっちゃった感じが

玲にとって、夫と同じかそれ以上に大切だったはずの華の存在が完全に反故にされてる問題も
なぜ華を放置したのか、今では華に対してどう思っているのか、華に対する愛とか葛藤とかもあってもよかったと思うんだけど、一番盛り上げられたであろうその部分も曖昧にされていて残念

そういう人物描写とか、心理的な葛藤とかがきちんと描けてるからこそ、ネタっぽいキャラでも映えるし魅力的なのに
それがないとただ滑ってるだけのキャラクター。

◆美雲ちゃん

自分の親を殺されてるんだから、そんな綺麗事で納得するな!と思うラスト
たしかに玲は可哀想な人だったけど、だからといって誰かを巻き込んでもいいわけではないし、お父さんの犠牲は本当に必要だったのか?復讐心はそんな簡単なものだったのか
彼女もご都合の餌食にされた都合のいいオチ要因で、せっかくのキャラ設定が死んでたように思います
かわいいからいいけどさー

◆あんちゃん

ピンチで覚醒して助けてくれる展開はもうドラマでやったから、一歩も二歩も進んだ活躍がして欲しかったなぁ
ただ、泥棒の呼吸は最強すぎるしかっこよかったからそれはそれで満足笑

◆大道芸人の死因

死の運命が回避できない理由、ギリギリ納得できないこともないけど、あまりにも厳しすぎる
脚本、苦しい
下手だなぁと思ってしまいました
もっと必然性や絶対性をもたせた、ピタッとハマる脚本が作れたはず
過去に行くけど、その過去は変えられないってう明確な運命力を描くような脚本じゃないと、その後の展開ぜんぶやり直しが効くんだよっていうことにもなるし、首輪で爆発とかのくだりの意味とか緊張感まで消失するからさぁ

◆栗原類

めちゃくちゃ喋るじゃん!!
人見知り設定消失
かっこいいし、劇場版くらいはいいけど

◆マツさん

白塗りの占い師や、お茶の子さいさい連呼、安定のモザイクピッキングなど、安定の活躍
プラスアルファの活躍欲しかったヨォ

◆渡部篤郎が

ひたすらにかっこよくてイケメン。
他の全てが微妙だった分、華と渡部篤郎の親子関係や家族愛に関してはかなり掘り下げられてて、華の出自が明かされるシーンでは普通に号泣した。
華が泥棒一家を嫌っていたこと、普通に育てられる未来を与えたかったこと、だから最後に家族旅行をしたこと、家族の思い出がなくなっても、思い出せるように王冠を欲しがったこと、未来でカズマにで会えるように運命の日も手紙に書き記しておいたこと……
とにかくこの作品で一番天才で頭良くてカッコよくて愛が深いの、お父さんなんだよなぁ😭😭😭

渡部篤郎のかっこよくてダンディな活躍が見られただけで一兆点なのだわ

◆桜庭和馬

瀬戸康史全然好きじゃないけど、かずまはめっちゃくちゃかっこいいんだよなぁ
また攫われてヒロインやってたけど、ナターシャとの戦闘シーンはガチでかっこよくて、惚れる

◆円城寺輝

泥棒オリンピックってなんやねん
優勝してるし!!!
相変わらず歌って踊って、
炎はあったかいよ〜って、ひたすら当たり前のことをを超高クオリティで歌って踊る姿は面白すぎて、これだけでも大満足笑笑笑笑

◆円城寺豪

SPで登場したパパ城寺も歌って踊るし、裏切りと見せかけてからの仲間っていうのもいけずな感じでとっても満足
市村正親、とにかくかっこよすぎます
あの格好似合いすぎ

◆そしてなんといっても美雲華

深キョン
表情が切なすぎて、顔が美しすぎて
これだけで映画見る価値10000000ある
何度見ても美しい儚さ
そして力強さ
美人見るだけで価値がある

◆大団円の結婚式

そういえば華と和馬ってウェディングやってなかったっけ???
映画でその伏線回収は素晴らしいな
ほぼオールキャストのラストのミュージカルで終わるのも、ルパンの娘らしくてとーーーってとよかった
幸せなキスをして終了……最高のラストじゃん!!!!

バージンロードを歩く渡部篤郎こと尊さん、軍服勲章付けすぎててカッコ良すぎて
あの格好個人的に渡部篤郎かっこいいランキング上位に入ります
ルパンの娘、衣装もいいよね笑笑という

◆揚げ足取りだけど

宣伝文句の「家族の絆は盗めない」
結局華ちゃんと尊たちの家族の絆は、玲から盗んだものじゃん……という笑
そういうことじゃねぇよ!ってのは百も承知だけどね
実際玲から盗んだって尊は公言してるけど、育児放棄された華ちゃんを引き取ったわけだし

尊は「盗み」にこだわってプロフェッショナルでいたし、行動的には華を「盗」んだわけだけど、華との絆は盗んだものじゃなくて、彼にとっても数少ない、自ら生まれた愛を持って築き上げられたものなわけで、尊と華の家族の絆は盗品じゃないんだ、本物なんだっていう意味だとすると、結構深いかも。

まあまあいい映画でした!見てよかった
かつきよ

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