【死んだ筈の男】
同時期公開イーストウッド「クライマッチョ」と設定/因子が酷似しており、おそらく本作も N・リチャード・ナッシュ原作『クライ・マッチョ』を下敷きにしているのだろう。
国境、オールドタイマー、少年、二ヶ国語、逃亡と追走、故障する車輌、意識の喪失と横臥、そして礼拝堂。
然しながらイーストウッドが メタファーとしたものは本作でより具体的に描写される。
少年と観賞するテレビに映るのは やはりテッドポスト「奴らを高く吊るせ!」だろうか。
つまりこれは“死んだ筈の男”が召される前の彷徨であり 告解であり 天命だ。
それらは 夥しい数のイーストウッド因子と「奴らは~」の明け透けな引用で周知済みであるだけに、ラストシークエンスの蛇足が甚だ痛い。
『俺はバスで行くとするか』ー 「人生の特等席」その最後にそう呟き去って行くイーストウッドを後追い、同じ景色/同じ境地に辿り着いた男と思えば Romantic ではある。
《劇場観賞》