サラリーマン岡崎

竜とそばかすの姫のサラリーマン岡崎のレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.3
細田守お得意の「SNSの世界」。
公開が決まった時は既視感満載やん!と思ったけど、しっかり現代で細田守が描く意義が表れた作品だった。

SNSの社会はもうひとつの人生を生きれるとこの作品では定義されている。
現代はXR技術などで、実際に体感を持ってもうひとつの人生を送ることはできるようになるかもしれない。
『サマーウォーズ』でも、SNS上で世界の人々と繋がり、問題解決する姿を描いていた。
今回はSNSのその大きな話ではなく、とてもパーソナルな話。自分自身を生きる話。

SNSが発展して10年以上経つと思うが、
ずっとさけばれているのは、仮想の自分と現実の自分の乖離。
それか迷い面もあり、悪い面もある。
そのことを数年前に細田守は美女と野獣の実写化がダイバーシティをテーマに作られたのを観て着想を得たのかわからないが、
美女と野獣の「見た目ではなく、その人の心に寄り添う」ことをキーに、その物語に沿いながら、
「自分らしさ」を問いかけてくる。

この映画が最終的に出す答えは普遍的なものではあるが、SNSを描いてきた細田守が今SNSをテーマに描くには匹敵の作品となっていた。
こうやって監督の経歴から映画を楽しむのも醍醐味のひとつだなぁ。