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地獄の花園のkuuのレビュー・感想・評価

地獄の花園(2021年製作の映画)
3.5
『地獄の花園』
映倫区分 G.
製作年 2021年。上映時間 102分。

OLたちの華やかな職場の裏で、拳を戦わせる壮絶な派閥争いがおこなわれていたというバカリズムの奇想天外なオリジナル脚本を、Perfumeやサカナクション、星野源のMVを手がける関和亮監督のメガホン、永野芽郁主演で映画化。
主人公・直子役を永野芽郁、蘭役を広瀬アリスがそれぞれ演じ、菜々緒、川栄李奈、大島美幸(森三中)、小池栄子に加え、勝村政信、松尾諭、丸山智己、遠藤憲一らが全員OL役を演じている。

ごく普通のOL生活を送っているかのように見える直子。
しかしその裏では社内の派閥争いをかけ、OLたちが日々ケンカに明け暮れていた。
ある日、中途採用されたOL・蘭と直子は一緒にカフェめぐりをするなど友情を深めていくが、蘭の正体はスカジャンがトレードマークのカリスマヤンキーOLだった。
蘭の入社をきっかけに、直子の会社が全国のOLたちのターゲットになってしまい。。。

最近は変化球ヤンキー漫画が跋扈する。
『東京卍リベンジャーズ』や『ナンバMG5 - 』など。
思えば、
兄の蔵書の漫画、『嗚呼!!花の応援団、熱笑!! 花沢高校』からヤンキー系の物語の洗練を受け、時系列はバラバラですが、『A-BOUT!』、
『あばれ花組』、『押忍!!空手部』。
はたまた、本宮ひろ志作品の『男一匹ガキ大将』、『硬派銀次郎』、『山崎銀次郎』。
『男組』、『男大空』、『CUFFS 〜傷だらけの地図〜』に、タイムリーやと『カメレオン』、『ジゴロ次五郎』、『ギャングキング』特にハマったのは、斎藤工主演でドラマ化にもなった『QP』や、小栗旬主演の『クローズ』、『WORST』の高橋ヒロシ漫画。
最近リバイバルヒットした『今日から俺は!!』
ヘタレヤンキー最強の『工業哀歌バレーボーイズ』なんてのもあったなぁ。
『シャコタン☆ブギ』に『湘南純愛組!』、『湘南爆走族』、『荒くれKNIGHT』。
『激!!極虎一家』、『魁!!男塾』、『ナンバMG5』、『TWO突風!』
『ドロップ』原作が異色の品川ヒロシ漫画。
『BADBOYS』、『BADBOYS グレアー』、『莫逆家族』。
少女漫画なら『花のあすか組!』、『ロンタイBABY』なんてのも読んだなぁ。
まぁ『ビー・バップ・ハイスクール』は五大ヤンキー漫画に連ねるかな。
『名門!多古西応援団』や『ヤンキー烈風隊』。
『ろくでなしBLUES』
はぁ枚挙に暇がない。

こんな沢山あるヤンキー漫画でも今作品のような、別次元のヤンキーものを小生は知らないし、バカリズムやりよんなぁと思いながら鑑賞。
物語的にはバカバカしいですが😊

オフィスで働いたことはありませんが、時にはオフィスが悪質である時があると聞く。
女性も男性と同じように、昇進のため、あるいはただ単に、互いに生活を困難に陥れるために密告したり、陰口を叩いたり。
しかし、直子(永野芽郁)が働くオフィスでは、さらに一歩進んでいた。
冒頭、ヒロインが静かにおしゃべりをしてっと、他の女性が背後の書類棚に飛び込んでくるシーンで、観てる者には明らかやと思う。
彼女は平静を装っている。
ナオは、会社員のプロとしての振る舞いを大切にしている。
OLてのはどういうものなんか。
コンピュータの使い方を覚える。電話の応対は迅速かつ丁寧に、『お客様は神様です』
ちゅう気持ちを忘れずに。
あごを引いて、やさしい声で話す。
先輩(というか、男性社員)をいつでも助けられる。
そして、会社に対して忠実であること。
この後者の条件は重要であることがわかる。
真のオフィスワークの達人は、会社のために死ぬというのが、日本の暗黙の伝統なのかもしれない。
せやけど、肉体的な戦闘を行うことは、厳密には全社員に求められているわけやないが、それは多くの社員が戦闘を苦手とすることを想定しているためで、ナオの職場は3つの軍団に支配され、常に抗争を繰り返していた。
美人でカリスマ性のあるラン(広瀬アリス)は、大勢の人間をボコボコにする。
セクハラ男に救いの手を差し伸べ、友情を育みながら
『ナオを守る』と約束する、清廉潔白なヤンキー漫画のヒーロー像やなぁ。
しかし、ナオ自身はどうなんか。このままでは、みんなを困らせ、誘拐され続ける、ヒーローのクズな相棒になってしまう。
ランの評判が上がり、他社の担当者が喧嘩を売ってくるようになると、漫画好きの彼女は自分の運命を心配し始める。
遊び心にあふれた風刺ともとれる今作品は、ヤンキーコミックの形式に忠実で、人気のある武術映画(アクションゲーム)もチョイ周到してた。
ほとんどのシーンがパステル調の色調で、柔らかな照明と永野のソフトな語り口で紹介され、完璧に真顔で語られるしとても可愛い。日本の伝統的なテーマである
『名誉』やったり『不本意な英雄』はたまた『武士道の孤独』が、ダイエットやショッピング、ナオの恋人への憧れといったオフィスでのおしゃべりと隣り合わせで描かれてた。
それが妙に嗤えてきました。
登場する敵は、どんどん派手な衣装を身にまとい、時にはスケスケの男たちを引き連れている。
ただ、男たちは戦闘に巻き込まれる危険がある場合は、当然ながら退場。
今作品に大きな問題があるとすれば、ほとんどすべての暴力が画面の外にとどまっていること。
人々が宙を舞う姿や、切り傷や打ち身を見ることはあっても、ノックアウトの一撃を見ることはほとんどない。
(スローの顔面パンチはあるものの)
これには様式美的な側面があり、普通のサラリーマンが当たり前のように戦っていることを理解する必要がある序盤では効果的やけど、重要な場面でもう少し暴力があれば、映画に活力を与えることができたやろなぁと。
しかし、筋書きが本格的になってくると、この問題はあまり気にならなくなり、全体の無意味さを思い知らされるのに効果的である。また、そのおかげでキャストの演技力が加味され、選ばれたのだと思います。
特に広瀬アリスの巧みに判断されたコミカルな演技は印象的でした。
まぁ今作品は演技の質の高さと脚本にある無数の小さな観察力が、ジャンルを超えて、色んな人を惹きつける魅力を持っているかな。もし、オフィスの雰囲気とヤンキーに何かしら気になるようなら向いてない作品かもしれへんけど、個人的にはハマりましたし、笑えました。
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