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新宿インシデントのkoyamaxのレビュー・感想・評価

新宿インシデント(2009年製作の映画)
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「アクションしていないジャッキー」ミーツ「海外から見たVシネ歌舞伎町」ということで、、
新宿 歌舞伎町を舞台に、密入国した男が裏社会でのし上がる話。

海外からみた日本の姿を描く映画というのが、どこにもない「ストレンジな世界」になりがちで、その表現自体が割と好きだったりします。

今作も「ストレンジな世界」を期待するスタンスで臨んだのですが、本作では、表現的に誇張している部分はあるものの、上滑りしている部分はありません。

ストレンジというよりもそのまま別の視点からみた日本ですね。
どこまでが実世界のリアルにつながるのかわかりませんが、、
不法滞在者側から観た日本と裏社会の秩序が描かれていて、そこで生きる者の「営みの方法」が多く描かれています。

ここが
「それ見たことあるかもしれない。」
「かつてあったのかもしれない、それ。」と、生活圏のごく近くですれ違ったかもしれない肌感覚、息遣いにリアリティを感じて目が離せないポイントとなりました。
全体的なえげつなさは、むしろフィクションと思いたいところ笑

彼らにも行動原理があり、仲間や思いやり協調性を描く一方で、生き抜くためになんでもやる。犯罪や人殺しもいとわない。と、徐々に崩壊していく人間関係や報復の悲惨さなど、「いやなこと」をちゃんと描いています。

テイストとして必要以上にハードすぎる側面があるものの、この部分がシンボリックになっており、希望を抱いて生きてきたあの日々は「分断されて」もう以前には戻れないという切なさと悲哀がより際立ちます。

この映画、ジャッキー主演じゃなくてもいいんじゃないか?とおもわないでもないですが、、

ジャッキーが「この世界に入り込んでいるということ自体」もまた時代の流れを描いている全体のトーンに呼応している気がしないでもないです。

今回吹き替えで見ましたが、石丸さんの元来ある朗らかさとトーンを抑えた芝居が同居していて、こちらも新境地のジャッキーを感じました。

全体の本気度は確かで「アクションしないジャッキー」映画としてだけで観るのはもったいないかもしれません。

かくいう自分も公開当時から存在は知っていましたが、「ドラゴン特攻隊」や「炎の大走査線」のような、何かの契約で仕方なく出演している作品の位置づけなのかと勝手に思ってました。
すみませんでした!!笑
(XXXXXさんのレビューきっかけで鑑賞しました。ありがとうございます)
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