新宿インシデントの作品情報・感想・評価

「新宿インシデント」に投稿された感想・評価

かじ

かじの感想・評価

4.2
カンフー0のジャッキーが不法移民として新宿で暮らし始めて成り上がっていく 日本のヤクザと中国の移民たち、どちらもちゃんと描かれていてよかった 竹中直人さんの中国語うまかったな
やっぱこういうのは、舞台となった場所で見るのが一番。
新宿グランドオデヲン座は椅子からスポンジはみだす相変わらずのボロ劇場ぶり。
前に綺麗な愛人らしい姉ちゃん連れたヤクザ風、後ろに北京語でひそひそ話の中国人カップルという非常にリアルな状態(笑)での鑑賞と相成った。

冒頭の、沖合いの座礁した船をバックに浜辺に大量の中国人密航者がうごめくシーンは圧巻。それだけで見事に、この作品に見る者全てを惹きつけるインパクト大のオープニングだ。
これ、本物の座礁したロシア船を背景に置いている(撮影準備時にそのニュースを聞いたトンシン監督が即座にそこで撮影を決定して実行されたとか)こともあって"本物の迫力"が感じられるのだ。

貧しい農村で暮らしていたジャッキー扮する"鉄頭"が恋人を探して密入国し、東京・新宿へと流れてくる様がすらすらと描かれ、我々は彼と一緒に東京の中国人社会に潜り込むこととなる。
密入国者たちのコミュニティ、民族ごとの力関係、華僑やヤクザとの間柄、日本人との軋轢など、ひとつひとつのディテールが非常に細かく描かれていく。いつもながらのトンシン監督の描写力は見事。
日本から大量にスタッフが参加している事(撮影の北信康氏の硬質な画柄は非常に秀逸。ガンエフェクトにはビッグショットの納富氏も参加)、ダイアログ担当として伊藤秀裕氏(元日活、エクセレントフィルムの代表さんだよね)が協力している事もあり、日常描写、ヤクザ描写もしっかりしているので、香港映画でありながら同時に、日本のヤクザ映画を観ているような不思議な感覚がある。

ではその緻密なディテールで描くドラマはというと、これがちょっと厳しい。
監督の前作「プロテージ」は主人公が潜入捜査官という立場に居たため、麻薬の被害者と加害者、両方の目線を獲得することができ、かつ彼の無力感を描く亊で「麻薬」という本丸に迫っていく事もできたのだが、本作はジャッキー扮する"鉄頭"自身は密航してくる大勢の一人でしかなく、彼をはじめ密航者コミュニティ、物語の負の部分を体言する"鉄頭"の弟分阿傑(アチェ。今回もトンシン組・ダニエル・ウーが力演)、日本のヤクザ江口(加藤雅也)とその一派と群像劇の様相を呈すために、この上映時間の中にドラマが収まりきれていない感じなのだ(組織でのし上がろうとする江口の生い立ちを描く部分などは案の定バッサリ切られているらしい)。

"鉄頭"はきっかけを作るのみで、新宿で対立を深めていく日本人ヤクザと中国人グループとの抗争の中では蚊帳の外になってしまう点も痛い。これはジャッキーの意向によるものだったのか、ストーリー上の要請なのかは分からないのだが、やはりというかなんというか、ジャッキー=いい人、なのだ。
本作でもトンシン作品によくある「奇縁」が描写される。それは全て"鉄頭"が"人を放っておけない"優しさを持っているからなのだが、その優しさこそがこのドラマで他の人々の(結果的に)仇となっていく皮肉さが、哀しさが今ひとつ伝わってこない。
恐らく状況が悪くなっていく中盤以降で、ドラマの主たる部分が日本のヤクザものよろしく組織抗争ドラマになってしまっている構成にも問題があるだろう。物語が拡散してしまい、個人に収斂していかないのだ。

「プロテージ」そして本作と、トンシン監督と脚本のチュン・ティンナムはちょっと社会派的なアプローチにシフトを置き過ぎている気がする。"状況"を描こうとしすぎ、というか。「旺角黑夜」「忘れえぬ想い」で見せたような、心に重いものがずしーんと落ちていくような、深い人間ドラマへの結晶化をもう一度見せて欲しいというのは欲張りだろうか。

演技者としてのジャッキーを見る時、パンフレットにも書かれていたけれどその「泥臭い感じ」というのは、非常に大陸向けには武器になるんだと思う。本作の、農村でトラクター運転してる彼の姿ってのはとても似合っていて、中国の人々にも支持される部分があるだろう(まぁアクションしなきゃジャッキーじゃない! というのも皆持ってる気持ちだと思うが)。
本作は元々彼のために書かれたホンではないらしいこともあってかなり苦労したんじゃないだろうか。ちょっと迷っているようにも見えた。
ダニエルはもうほんと、トンシン組には欠かせない人になってきてるけど、本作では独りで悲惨パートを突き進んでてマジで痛々しかった。後半の変わりようがまた哀しい。でもあぁなっちゃうよなぁ普通。

日本側キャストはあまり紹介されていないが、竹中直人、加藤雅也のほかにも吹越満、倉田保昭(!)、峰岸徹、長門裕之(後者二人は故人)といった渋好みなキャスティングがなされ、非常によい仕事をしている。
加藤雅也は地の関西弁でしゃべるため、妙な力みがなくて彼の出演作の中でも出色のよさではないだろうか。竹中さんはまぁ、いつもの竹中さん。
香港組はいつもの面々、前述のダニエルもそうだけどまたしてもなラム・シュ、お馴染みロー・ワイコンやチン・ガーロッがなんだろうな、それぞれあぁ、さもありなん、なキャラを演じてて面白い。
チン・ガーロッはここんとこずっとアクション監督兼任なんだけど、今回も手チョンパやってます。好きだねぇ。クライマックスでいきなりキレたのはすげぇ怖かった。

女優陣では大陸の二大美女、シュー・ジンレイとファン・ビンビン様が共演。ジャッキーったら相変わらずね。薄幸さを地で行くシュー・ジンレイの儚げ美もいいが、やはりビンビン様。今回も震えが来るぐらいの美女ぶり。こんな人がママの中国パブなら俺、通います。中国人女性らしい気の強い見せ場もあってイイ。

本作のテーマは劇中でシュー・ジンレイがかなりストレートに語ってたりするんだけど、経済発展を続ける中国において、この問題は今後多分中国の至るところで起こりえることだろう。実際そうなって来てるし。
平田一

平田一の感想・評価

3.2

このレビューはネタバレを含みます

背伸びだなぁとは思いました。
けれどこれで演技派としての面が開花しましたね。

この頃のジャッキー・チェンって、昔のシルヴェスター・スタローンの色んなジャンルへの挑戦期と同じ時期にあったんですね。成功失敗は置いといて、こういう挑戦姿勢の映画、絶対見ておくべきですよ。

これが後の『ベスト・キッド』に繋がっていったんですし。

弟分がツラい仕打ちを受けたときの悲しみなんかこれまでのジャッキーにはない一面が見られたし、元々演技派の一面があったんだって思えました。それと案外無骨な役もいけるんだって分かったけれど、このジャンルに挑戦するには早かったと思うな。

ワイスピのTOKYO DRIFT思い出させる場面もあるし(あの映画オタクで知られる役者さんも出ているし)、クライマックスの刺客たちどこの忍者集団よ(笑)。

興味深いテーマなのに、ジャッキーが足枷になってしまったところはあるが、パンフを読んで舞台背景が知りたくはなりました。

ある場面の『アイ・アム・レジェンド』の看板は驚いた(一番サプライズなような)w
ジャッキー・チェンがダーティーなキャラクターを演じるということで、興味津々といった感じで楽しみにしていた作品でした。ジャッキーの新境地を開きたいという意欲は十分に感じましたし、アクションシーンのキレはあったもののストーリーにまったくキレがありませんでした。パンフレットを読むと非常に面白いストーリーと思うのですが、それが映像に反映されていなかったのが残念でした。題材は非常によかったので、編集の妙で作品の良さが殺されてしかったのかもしれません。

セガールの作品にもありましたが、今回も少々目についたのが日本人俳優のセリフに違和感があったことでした。ヤクザにしては話し方が丁寧かなという感じでしたし、竹中直人のセリフもなんかイマイチでした。中国人の日本語セリフも聞き取れない場面が多々ありましたし、彼等も話すのが精一杯でまったく感情がこもらないので、学芸会の芝居を見せられているような気がして、興ざめしました。日本語セリフ中心のシーンで冷めて、アクションシーンやR15指定必至のエグいシーンで引き戻されるそんな感じでした。

ジャッキー・チェンももう50後半の年齢で、アクションにも限界が出てくるでしょうし、今後も今までのイメージを払拭するような作品にチャレンジしていくのでしょう。今後もこういったチャレンジに期待したいですね。
中身は大分ハードで強烈な違和感に襲われた。
新宿のヤクザと密入国者の中国人とのやりとり。
ジャッキーは抗争に巻き込まれ徐々に存在感を増していく。つまりは底辺からのし上がっていくような状態に。

ここで力で納得ではなく、仲間内の信頼を勝ち取ってのし上がっていく。
この見せ方は意外すぎる。
ヤクザに襲われるシーンなど、ジャッキーそんな奴ら簡単にのしてくれよと叫びたくなった。

戦わないジャッキーには相当にがっかりするが、これは年齢を重ねたアクション俳優は当然のことかもしれない。アクションがなくなればスクリーンで表現するには演技力が必要だ。
血なまぐさいやり取りもある種傍観。徹底的に痛めつけられても、反撃は観られない。

中国では公開されないのも納得だ。
ジャッキーが娼婦を買ってのセックスシーンなどこれまでは有り得なかった。

日本人キャストも大挙して出ており、買収すればだまるなど、おかしい日本人の描かれ方も当然されている。
ラストも唖然とする結末だった。
今日はもうひとつ神戸で撮影された映画を、と思った…んですけどすみません、これ以前見たんですがエグくて怖くておしっこもらしそうになっちゃって、最後まで見られませんでした。
見られなかったのにレビューしてほんとすみません。
でもこの作品が神戸で長期ロケされたのが当時話題になってたのは本当です。

ジャッキー・チェンがこのシリアスな作品に挑んだのは、もう昔のようにアクションができなくなってきたなとジャッキー自身が感じたからだと聞きました。
日本に密入国した男が裏社会で生き抜こうとするストーリー。
新宿歌舞伎町の雑踏として撮影されたのは、三宮の東門商店街です。エキストラを呼んで、夜中に撮影してたよって昔行きつけだった東門のバーのマスターが言ってました。
あとは、南京町中華街の現地の方もチョイ役で出たけど、みんな華僑二世とか三世で日本語しかできないから、中国語が吹き替えだったとか聞いたけど本当かな。

ジャッキー・チェンは神戸に滞在中は神戸ポートピアホテルの中国料理の料理長が作る広東料理がお気に入りで、毎日通ってたってうわさも聞きました(笑)
わたしらの世代でジャッキーが嫌いな子どもなんかいなかったですからね。わたしも一目見てみたかったです💕

というわけで、あとは他の方のすばらしいレビューをどうぞ…ほんとにすみません。

あと…
神戸で撮影された映画で、やはり勤め先の近くのビルで撮影してた映画があったな…
アウトレイジビヨンドだ

だめだ怖そう😰見られないわ
まこと

まことの感想・評価

3.3
"郷に入っては郷に従え"

とはよく言うが、他国でのさばっていくのはやはり難しい

差別や冷遇をじっと耐え忍び、最後の最後まで気持ちが折れなかった者だけが踏み入れられる領域がある
koyamax

koyamaxの感想・評価

-
「アクションしていないジャッキー」ミーツ「海外から見たVシネ歌舞伎町」ということで、、
新宿 歌舞伎町を舞台に、密入国した男が裏社会でのし上がる話。

海外からみた日本の姿を描く映画というのが、どこにもない「ストレンジな世界」になりがちで、その表現自体が割と好きだったりします。

今作も「ストレンジな世界」を期待するスタンスで臨んだのですが、本作では、表現的に誇張している部分はあるものの、上滑りしている部分はありません。

ストレンジというよりもそのまま別の視点からみた日本ですね。
どこまでが実世界のリアルにつながるのかわかりませんが、、
不法滞在者側から観た日本と裏社会の秩序が描かれていて、そこで生きる者の「営みの方法」が多く描かれています。

ここが
「それ見たことあるかもしれない。」
「かつてあったのかもしれない、それ。」と、生活圏のごく近くですれ違ったかもしれない肌感覚、息遣いにリアリティを感じて目が離せないポイントとなりました。
全体的なえげつなさは、むしろフィクションと思いたいところ笑

彼らにも行動原理があり、仲間や思いやり協調性を描く一方で、生き抜くためになんでもやる。犯罪や人殺しもいとわない。と、徐々に崩壊していく人間関係や報復の悲惨さなど、「いやなこと」をちゃんと描いています。

テイストとして必要以上にハードすぎる側面があるものの、この部分がシンボリックになっており、希望を抱いて生きてきたあの日々は「分断されて」もう以前には戻れないという切なさと悲哀がより際立ちます。

この映画、ジャッキー主演じゃなくてもいいんじゃないか?とおもわないでもないですが、、

ジャッキーが「この世界に入り込んでいるということ自体」もまた時代の流れを描いている全体のトーンに呼応している気がしないでもないです。

今回吹き替えで見ましたが、石丸さんの元来ある朗らかさとトーンを抑えた芝居が同居していて、こちらも新境地のジャッキーを感じました。

全体の本気度は確かで「アクションしないジャッキー」映画としてだけで観るのはもったいないかもしれません。

かくいう自分も公開当時から存在は知っていましたが、「ドラゴン特攻隊」や「炎の大走査線」のような、何かの契約で仕方なく出演している作品の位置づけなのかと勝手に思ってました。
すみませんでした!!笑
(XXXXXさんのレビューきっかけで鑑賞しました。ありがとうございます)
XXXXX

XXXXXの感想・評価

3.8
250レビュー達成しました!節目はやっぱりジャッキー映画で!笑
ジャッキー・チェン衝撃のバイオレンスドラマ!竹中直人、ファン・ビンビン共演。

中国の農村から、日本に密航してきた鉄頭(ジャッキー・チェン)。中国人仲間と共にクレジットカード偽装などの犯罪に手を染め始める。鉄頭はかつての恋人に再会するが、彼女は日本の暴力団の若頭の妻になっていた...。

ジャッキー映画とは、思えない位にバイオレンス描写が炸裂した作品で、『NEW POLICE STORY 香港国際警察』のダニエル・ンが、天津甘栗の屋台で、手首を切り落とされたり、大腸がデローンとなったりと、残酷シーンのオンパレードで、ジャッキー映画初R15作品になりました。ジャッキーは、大久保駅の銃撃戦の際に銃で撃たれて、下水道に流されていくと言う、ジャッキー映画としては哀しすぎるラスト...。

中国人密航者の卑劣な犯罪や、決して明るいとは言えない重苦しい作品ですが、何とか新しいモノを見つけようとした、ジャッキーの挑戦を感じる作品です。
ジャッキーに近づく、日本人刑事役の竹中直人が好演しており、作品の清涼剤になっています。北野という役名は、北野武から取ったのかな?笑
他にも、斉藤貢とエド・はるみがチョイ役で出演していたり、長門裕之や倉田保昭、峯岸徹と言った獄渋な脇役陣が固めます。

ジャッキー映画と言うよりは、Vシネに近い作品だけど、クライマックスの拳也率いるヤクザ軍団との死闘は、ジャッキーらしいアクションシーンになっています。
今作、『燃えよデブゴン:TOKYO MISSION』で監督デビューした、谷垣健治氏もスタッフとして参加しており、彼の活躍にジャッキーに褒めて貰い感激したと語っていました。

日本公開の際、新宿歌舞伎町の元コマ劇場にあった映画館に見に行ったのですが、明らかに怖そうなお客さんしかおらず、ある意味4Dと言える上映形態でした←
ジャッキー映画としては、かなり異色な作品ですが、見応えアリな一作ですぞ!
Hagieen

Hagieenの感想・評価

3.4
イートン・シン監督、ジャッキー・チェン主演。

恋人を追って日本に密入国してきた鉄頭が、生活のため悪事に関わりヤクザ社会に巻き込まれていく。

得意のアクションを封印し、一役者として監督にゆだね挑んだ作品。
この時期のジャッキーはアクション以外の道を模索していたようで、他の監督作品に出たいと、たびたびメディアで発言していたように思う。
アクション無しでも役者として巧いと思うが、大スター故に他の監督も使いづらいんだろうな、と。
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