なお

SNS-少女たちの10日間-のなおのレビュー・感想・評価

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)
4.2
【2021年-44本目】
"愛する人だけに"

いわゆる「デジタルネイティブ」と言われる今の子どもたちは、幼い頃からその文明の進歩による便利さを享受すると共に、それと同じくらいの危険に晒されながらネットの世界を生きている。

本作は、オーディションを受けて選ばれた女優3名が、12歳の少女に扮して新規にSNSアカウントを開設。
そこに群がってくる"オオカミ"どもの生態を生々しく撮影することに成功したドキュメンタリーだ。

調査期間中、彼女達に声をかけてきた大人は総勢2500余人。
男の自分でも目を覆い・疑いたくなるような光景ややり取りが、昼夜問わず親の目の届かないところで繰り広げられている。

衝撃的だったのは、ドキュメンタリー撮影側の女性の知り合いである男が、12歳に扮した彼女達に声をかけてきたということだ。
しかもその男は、子ども達と接する仕事に就いている…。
己の欲望を満たすためだけに少年少女を傷つける性犯罪者は、意外と身近な場所に潜んでいる。

『うそをうそと見抜ける人でないと(掲示板を)使うのは難しい』
2ちゃんねる創設者の西村博之氏は、まだSNSなど存在しない時代にこんな言葉を残している。
今は「掲示板」の部分が「SNS」になるだろうか。

しかしこのメッセージは、分別のある大人に向けられたものである。
想像力や危機回避能力がまだ未熟な子どもたちを、イヌの小便をかけられて当然な人間たちから守ってあげなければならないのは、紛れもなく「分別のある」我々大人たちなのだ。
なお

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