出産ドキュメンタリー。
下手に弄り様がないほどに重い題材だけに、撮る人の手腕も、手癖もよく出やすい。
顔面度アップで、いきむ声とかは乗せず、BGM爆音(多分クラシック？オペラ？)、そして最後に妙な飛躍を見せる。

過去にいくつか(画質は良くないやつだが)ペレシャン作品を観たことがあるので、「いつも通りのペレシャン」って感想がまず真っ先に浮かんだ。
短いから、というのも当然あるだろうが、今回も「見入らせる凄味」は健在だった。

出産のドキュメンタリーというとやはりスタン・ブラッケージ『窓のしずくと動く赤ん坊』を思い出して比較してしまう。ふたりの映像作家が出産と女性をどう捉えたのかが色々面白い。
安直だが、ペレシャンのショットは顔中心でブラッケージは下半身中心。ペレシャンの本作は最初から最後まで心臓の音が聞こえる。叙情的なアリアが流れる。これがあるのと無いのとでは印象が変わるんじゃないか。ちなみにブラッケージ作品は無音。
ペレシャン作品の、ベッドの柵ごしにクローズアップで映される出産に臨む女性の横顔。陣痛の波が和らいでるのか、眉根に力が入ったまま柔らかく目を閉じたりする表情がとても美しい。まだうんと若いようにも見える。産まれたばかりの赤ん坊が一足飛びに成長する。