ケイスケ

秘密の森の、その向こうのケイスケのレビュー・感想・評価

秘密の森の、その向こう(2021年製作の映画)
4.5
秘密基地に装飾したあと「(`・ω・´)ふんす!」ってポーズ決めるネリー可愛い。

8歳のネリーは、森の中に立つ祖母の家を両親と共に訪れる。亡くなった祖母の家を整理することになったものの、母は少女時代の思い出が詰まった家にいることに耐えかねて出て行ってしまう。残されたネリーは、母が昔遊んだ森を探索するうちに、マリオンという母と同じ名前を名乗る8歳の少女と出会う。

セリーヌ・シアマ監督作は『燃ゆる女の肖像』をレビューして絶賛しました。完成度が高いのは燃ゆる女の肖像かもしれませんが、自分の好みで言えば本作の方が好きですね。愛しくて切ない、そして全編通して美しさで溢れている素敵な映画でした。

シアマ監督は子役の演出がとんでもなく上手いですね。ネリー役のジョゼフィーヌ・サンスとマリオン役のガブリエル・サンスは実の姉妹なため、普段の自然体なやりとりもあると思いますが、それにしても演技力も素晴らしく可愛らしいです。特にクレープ作るシーンが良いんだよなあ。フライパンでひっくり返すところは劇場で笑いが起きてました。

本作は不思議な場面も多く舞台が森なため『となりのトトロ』的な部分もあって、実はどこまでが本当の体験なのか意図的にぼかしてる点もあるんですよね。ネリーは現在の家と、お母さんの過去の家を行ったり来たりしますが、二つの家がシームレスに繋がる場面があるんですよね。眠るシーンも多く、もしかしたら夢の中の出来事だったのかも…と思わせる描写もあり、これは8歳の少女目線の体験記というのが伝わってきます。

全編通して非常に面白いんですが、特に好きなのはタイトルとラストですね。お母さんの表情が見えないところに原題『Petite maman』。「あ、これ絶対に面白いやつだ」と確信しました。ラストは自分でもビックリするくらい涙腺に来てしまった。今年観た映画の中では間違いなくベストテンに入ると思います。傑作でした!