horahuki

Ruby(原題)のhorahukiのレビュー・感想・評価

Ruby(原題)(1977年製作の映画)
3.5
幽霊 vs ギャング!

『妖怪巨大女』を連日流し続けるドライブインシアターを経営するのは元ギャングの姐さん。昔のギャング仲間たちを雇い順調に運営してたのだけど、何者かによって1人また1人と殺されていく。それはギャングたちが16年前に殺害した姐さんの彼氏(幽霊)だった!

ギャングたちの関係がなかなかに複雑。16年前、姐さんはギャング仲間からモテモテ。2人のギャングが言い寄り、三角関係状態。姐さんはその片方のニッキーと付き合ってたのだけど、イザコザが発展して、もう片方が他のギャングを束ねてニッキーを銃殺。しかもその銃殺された日に、姐さんはニッキーとの子どもを出産。

今は、姐さんが元ギャングたちの助けを借りて一人で子ども(娘)を育ててる。でも娘は一度も話さず、姐さんは精神病院に入院させようかと考えてる。ニッキー銃殺を企てた男は盲目になり車椅子生活で、姐さんに「ニッキーが戻ってきた!」と嫌味を言われ続ける日々。そんでマジで戻ってきちゃって自分を殺したギャングたちに復讐していくって流れ。

IMDbでも参照元として指摘されているけれど、『エクソシスト』と『キャリー』と『オーメン』を煮詰めたような内容。というのもニッキーは単に幽霊として現れるのではなく、自身と姐さんとの間の娘であるレスリーに憑依して戻ってくる。『エクソシスト』のリーガンの如くベッドの上で暴れ回り似非スパイダーウォークまで見せつけるという隠す気のないパクリ具合。

そして姐さんを演じるのは『キャリー』の毒親役パイパーローリー。本作でも娘を抑圧する母親を演じ、何も話さず反抗もしなかった娘がニッキーの憑依により豹変し、追い詰められる場面もあり。ちなみにジャケ画像で顔芸披露してるのはタイトルになってるルビー(姐さん)ではなく、娘のレスリーちゃんの方。

本作では『ナイトタイド』で見せたような『キャットピープル』的奥ゆかしさは見られず、そういった意味でのハリントンらしさは感じられないのだけど、アルドリッチ『何がジェーンに起ったか?』影響下の婆ホラー『ヘレンに何が起こったのか?』『誰がルーおばさんを殺したか?』を監督した過去があることを考えると、『何がジェーンに起ったか?』のベイビージェーンのような痛々しさを醸し出すルビー姐さんのキャラクター造形にはハリントンの「好き」が現れているような気がした。

ルビー姐さんのことが大好きで未練タラタラな元彼ニッキーと、ルビーに抑圧され続け追い出されそうになっているレスリーちゃんが同一格になりルビーへの愛情を語ることで、今まで話せず口に出すことができなかった娘→母親に対する愛情が浮き彫りになり、それにもかからわず母親に凶器を持ち襲いかかるという相反の病的心情もまた『キャリー』のようでもあり、ポンコツホラーでありながらも憎めない作品になっているように感じた。私的には結構好き!
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