Jun55

痕跡 NSUナチ・アンダーグラウンドの犠牲者のJun55のレビュー・感想・評価

3.8
ドイツで2000年代に起こった、ネオナチ地下組織によるトルコ系住民連続殺人事件に関するドキュメンタリー映画。
被害者家族のインタビューにより構成されている。
映画監督から、加害者側の報道ばかりなので、被害者家族にフォーカスする映像を作りたかった、と説明があった。
観た後に、物足りなさを感じた理由として、この事件に対して、殆ど知識が持たない中で、事件の一部分についてのみ観たことになるので、情報のバランスが取れなかった、ということだろう。

ドキュメンタリー映画を観ることの価値は、先ずは、起こったことの事実、社会的影響を知ることなので(映像を通じて、強く認識できる)、その意味では、この映画を観る価値は十分にあったといえる。

本作、イスラーム映画祭で観たのだが、終了後、幸いにも映画監督のZoomインタビューがライブであり、色々とこの映画にまつわる話を聞けたことは有意義だった。
監督が強調していたことは、この事件の真相が明らかになったのは、10年前だが、ドイツにおける移民への人種差別、排斥意識は、いまだに改善されていない、という点。
先の総選挙で、極右系政党の当選が減ったようだが、過激な政治家が残り、状況は悪化したのではないか、との発言があった。
また、被害者家族へのインタビューの中で、加害者(ネオナチ)に対するコメントが異様に少ないことに違和感を抱いたことも、報復への恐れからなのだろう。

https://amp.dw.com/en/the-story-of-a-neo-nazi-network-in-germany/av-59718080









#イスラーム映画祭
Jun55

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