ノットステア

そして僕は途方に暮れるのノットステアのレビュー・感想・評価

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)
4.0
◯アマプラ紹介文
自堕落な日々を過ごすフリーターの菅原裕一は、長年同棲している恋人・里美と、些細なことで言い合いになり、話し合うこともせず家を飛び出してしまう。その夜から、親友、バイト先の先輩や大学の後輩、姉のもとを渡り歩くが、ばつが悪くなるとその場から逃げ出し、ついには、母が1人で暮らす北海道・苫小牧の実家へ辿り着く。だが、母ともなぜか気まずくなり、雪降る街へ。行き場を無くし、途方に暮れる裕一は最果ての地で、思いがけず、かつて家族から逃げていった父と10年ぶりに再会する。「俺の家に来るか?」、父の誘いを受けた裕一は、ついにスマホの電源を切ってすべての人間関係を断つのだが––––。



◯Bunkamuraサイト(原作の舞台のサイト)
“裏切り”“怠慢”“孤独” すべての『人間関係』を断ち切り
街の片隅で呆然と立ちすくむ、平凡な青年の逃亡記。
当たり前だが、人は人とのつながりの中で生きている。家族、友達、恋人、仕事仲間、先輩後輩の上下関係など、人は、他人と何かしらの関係性をもちながら、『自分』という存在を形成している。もしその関係性が壊れるようなことがあっても、またその人間と関わり、踏ん張って修復するか、他の別の人間とまた新たな関係性を生まれさせるか、なんとか、この世界でひとり『孤独』にならないように生きていくものだ…。
それでも、もし、ひとりの人間が、あらゆる他人との関係性を絶ち、それを取り戻す気力もなく、この世界でひとりぼっちになってしまったことを実感したらどうなるのだろうか。そのとき、見える景色は、どのようなものなのだろうか。その『絶望』の果てで、人は何を思い、最終的にどういう行動をとるのだろうか。
これは、刹那的な『恐怖』から逃れるためだけに、あらゆる人間関係を壊したまま、修復も試みず、その結果、街の片隅で呆然と立ちすくむ、一人の平凡な青年のどうしようもない逃亡記である。
三浦大輔
https://www.bunkamura.co.jp/cocoon/lineup/18_soshiboku/#point



◯きっかけ
黒澤明監督の雨は墨汁が混ぜられていたとかいう話をした。
そしたら、『そして僕は途方に暮れる』は雪が不自然だ、って聞いた。そんな話をしたから、そんじゃあ見てみようか、とね。



◯感想1
ダメ男。ダメ人間。後先考えず行動し、後先考えずその場しのぎ。困ったら逃げる。しんどいことは後回し。なんかしらんけど被害者っぽい感じだす。
変なプライド。人に何か言われるのは嫌だけど人のことは言える。
中途半端。フザケすぎる先輩からしたら真面目だし、親友からすればヤベーやつ。一緒に過ごす時間が長くなるほど、ヤバさと真面目さが出てくる。真面目さと言っても、フザケた先輩からしたら真面目ってだけで、彼女と距離をおくことになった日に浮気相手に対して会わない宣言してそのまま会ってないだけという真面目でもなんでもねー、ただ当たり前だというだけの気がするんだけども。

なんでコイツに恋人ができて浮気もできて、つまり惹かれるような人がいるのだろうか。浮気は惹かれたわけじゃなくて遊びか?
なんでコイツに友達もいるのだろうか。なんでコイツのダメ人間さはこれまでバレずにいたのだろうか。

んで、そういう男を描いていて、感動とかするわけないし、なんなんこの作品とも思ったけど、まぁ観て良かったかな。
とことんクズでとことんダメ人間ってわけじゃない中途半端さもそれはそれで良かった。
んで、ちょっと笑っちゃうところもあったし。

以下、ネタバレあり

















お母さん。リウマチで足や手が思うように動かない。家の中で転んじゃう。息子の裕一は起きるのを手伝ってあげる。そしたらお母さん、「ごめんなさい」「ご迷惑をおかけしました」と言う。なんか悲しい。と思ったら、お母さんのテンションの上げ下げにひいてしまったよ。

雪に関してはたしかに、なんというか光りすぎてる感じがした。
というか、こんなストーリー観てよく雪を気にしたなぁって思う。
それと、雪降ってるにしては薄着だった。寒くないのかな。



◯ダメ男だな〜ダメ人間だな〜って印象的だったところ
・彼女が朝食を作ってくれたけど残す。
・電球も彼女に変えさせる。お前1日休みやったろがい。
・友達の家で、カーペットの上で食事。食べかけのお弁当をカーペットの上に置く。テーブルを使いなさい。
・友達が仕事に行く時に寝てて、なおかつ朝は静かにして、起きちゃうからって言う。
・友達が寝ようとしてるのにテレビ観て大きな声で笑う。
・友達の家に居候してるのに洗濯も買い物もすべてさせる。ゴミも捨てない。
その他いろいろ。。。
ま、友達に怒られたこと(買い物とか家事とか)を、そのあと転がり込んだ先輩の家ではちゃんとやってたけど。



◯お前が言うか!?という意味で印象的なセリフ
菅原裕一「テレビの世界から逃げたっつーことを一回は認めてほしいよね」



◯印象的なセリフ
父親「みんな返せってうるせえから、住所教えないで引っ越したら、なんとかなったよ。もうおれの周りには誰もいなくなった。これも金払ってないから繋がらない。持ち歩いてんのは、見栄だな。まぁ、お前に何があったか知らないけど、どんなことがあってもすべてのことは収まるとこに収まるもんだ。自分が何もしなくても、世間様が勝手に帳尻を合わせてくれる。ぬるま湯だよ。世の中は。自分がほったらかした息子が勝手にこんなに成長してんだから。おかしなもんだよ。ふー。おれの家に来るか?そこは、お前のことをとやかく言う奴もいないし。その電源を切っちゃえば、お前と連絡できる人間は誰一人としていなくなる。父親としてお前に言っておく。いいか。逃げて、逃げて、逃げ続けろ。それでどうしようもなく怖くなったら、映画の主人公にでもなったつもりで、こう思うんだよ。面白くなってきやがったぜ。これで、すべてが解決する。よし、行くぞ」

親友シンジ「おれも長年アイツと付き合って来て、今までは愛すべきダメ人間とか思ってたわけぇ。でも笑えないガチのクズだってやっとわかってさぁ」→菅原裕一の夢?

菅原裕一「マジかよ、アンタ。こんな状況でもまだ逃げんのかよ!」
父親「お前に言われたかねーよ!」
菅原裕一「今まで言わなかったけどさ。おれアンタと一緒にいて、心の底からアンタみてぇな人間にはなりたくないってずっと思ってたからね。おれはアンタとは違うからぁ!」
父親「だったらとっとと行けよぉ。ここから出てけおらぁ!」

親友シンジ「お前ホントに好きな監督っているでしょ?映画の。その監督がさぁ、自分的につまらないと思うものをたとえ作っちゃったとしても、その監督の人間性?を認めちゃってるから、そんくらいで嫌いになんないじゃん。今回は失敗しちゃっただけだって、納得できるっていうか。まぁだからコイツは友達っていうか、親友って決めたら、ちょっとやそっとのことではブレないっつうか。お前はこの1ヶ月間、ただ失敗しちゃったんだろなって。お前という人間のたまたまの失敗作なんだなって、そんな感じで」
菅原裕一「シンジ。おれは、お前のそんなとこ一度も見たことないよ。失敗作」
親友シンジ「わかんないよぉ?この先。良いお年を」



◯感想2
「わかんないよぉ?この先。」の伏線回収的な結末。なんとなく読めたというか、結末の候補の1つとして思いついたらそうなった。
好きな映画監督を例に「まぁだからコイツは友達っていうか、親友って決めたら、ちょっとやそっとのことではブレないっつうか。」って良い考え方を示してくれたのに、ちょっと台無しかなぁ。
でもまぁ、友達も恋人も失って当然だとは思うけどね。
てか、幼なじみの恋人と浮気したシンジも恋人の幼なじみと浮気した里美は2人で裕一の母の見舞いに行く。やべーな。
登場人物の大半ヤベーやつ。
あと、「面白くなってきやがったぜ」って『カリオストロの城』の次元大介か。



◯!?
・雨に濡れてやって来た弟はびしょ濡れのままソファに座る。それに対して姉は何も指摘しない。なんでやねん。嫌だろ、それは。



◯感想3
なぜダメ人間なのか。それが謝罪の言葉でハッキリして良かった。
わからないから。自分が何を考えて行動してるかも、何をどうしたら良いかも。
だから「なんかごめんなさい」しか言えない。



◯あらすじ
浮気がバレる。きっかけは彼女にスマホが見えないようにしてる仕草。
家を出る。
まずは親友シンジの家へ。1週間。注意されて家を出る。
次は先輩の家へ。1週間。先輩が裕一のために裕一の元浮気相手に連絡しようとして家を出る。
次に後輩に会う。後輩は映画的な先輩の動きに興味を抱く。見栄で泊めてと言えない。
雨降ってきた。姉の家へ。お金のことで怒られ、何の目的も果たさず家を出る。
北海道苫小牧へ。母の家へ。母が宗教というか占いにハマってたから家を出る。
雪が降ってるけど行く当てがない。ベンチに座ってたら父と再会。再婚したらしいけど離婚してた。
父の家へ。スマホの電源切る。
父は家を出るチャンスをくれる。父の命令で彼女に電話。電源切る。
ピザを注文しようとしてスマホの電源入れたら彼女から鬼電来てた。理由は裕一の母が倒れたことを知らせるため。
裕一は病院に行くために父の家を出る。裕一「マジかよ、アンタ。こんな状況でもまだ逃げんのかよ!」
病院へ行く途中で彼女と再会。親友シンジとも再会。2人はお見舞いに来てくれた。
母は退院してた。家に戻る。
気まずい。
姉怒る。涙ながらになんかごめんなさい。
親友シンジ、この1ヶ月間は失敗作という話。「わかんないよぉ?この先。」
父が家に戻ってくる。
父「がんばったぞ」
4人で年越しそば。
裕一は父と『素晴らしき哉、人生!』を映画館で観る。
東京に戻り先輩に謝る。
彼女の家へ。
彼女が告白。シンジと浮気してた。裕一が出ていってから1週間後。飲みに行って彼女からホテルに誘った。彼女泣く。
別れる。
後輩が裕一に電話。結末はどうなりました?
裕一「面白くなってきやがったぜ」