サラリーマン岡崎

先生、私の隣に座っていただけませんか?のサラリーマン岡崎のネタバレレビュー・内容・結末

4.5

このレビューはネタバレを含みます

「先生、私の隣に座っていただけませんか?」
なんと微妙なタイトルだろうと思ったら、このタイトルがまさかこんな重要だったとは…。

話は要は夫婦間で「言わない」こと。
夫は妻への不満を言わないし、もちろんだが不倫していることも言わない。
不倫に気づいている妻は、そのことは直接言わない。
お互いが「言わない」関係になってしまい、そこに空虚感がある。
しかし、妻は漫画を通して、夫にそのことを暗に伝える。
だからこそ、直接「言わない」から夫は怯える。
でも、そのことを夫もなかなか言えない。
この「言えない」関係が夫婦間を壊していることを訴える。

その二人が行き着く先が漫画という点も面白い。
もともと二人で協働して漫画を描いていて、でも、夫は何も描けなくなってしまった。
でも「言える」関係になったときに、夫の才能が目覚め、
協働して再び漫画を描くことになる。すごく素晴らしい夫婦のカタチだ。
「先生、私の隣に座っていただけませんか?」
これがまさか、夫への言葉だとは到底思いつかない。
(教習所の「先生」と漫画作家の「先生」を共通づけたのはすごい)

でも、ここで終わらないのがこの映画の面白さ。
結局、「先生、私の隣に座っていただけませんか?」は誰に向けた言葉だったのか?
そして、その面白さをより増しているのが、母親役の風吹ジュンで、
さりげない演出がとても怖い笑

まさにこの映画の夫のように観客は妻に翻弄される。
コメディ映画ではあるが、この先のふたりのことを考えると、超絶ホラーにしか思えない。