必勝歌を配信している動画配信サービス

『必勝歌』の
動画配信サービス情報をご紹介!視聴する方法はある?

必勝歌
動画配信は2026年7月時点の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。
本ページには動画配信サービスのプロモーションが含まれています。
目次

『必勝歌』に投稿された感想・評価

敗戦の半年前(1945年2月)に公開された国策映画。愛国精神の美徳を12ほどのエピソードで描いたオムニバス。監督は溝口健二、清水宏、マキノ正博、田坂具隆など。主題歌は政府が民間から募集した「必勝歌」。制作:松竹。

これまで様々な戦時中の国策映画を観てきたが、本作は決定版と言える仕上がりだった。松竹大船調で「愛国精神」「滅私奉公」の美徳を謳いあげている。

中でもエピソード11「特攻隊遺族への慰労会」が衝撃的だった。天皇のため、帝国のために戦死することが常識の社会。決して同調圧力によるものではなく、戦死が美しく誇らしいものと心から信じている小市民たち。個人的には狂気のカルト国家としか思えないが、現代の日本人の多くが「愛国精神」の復古を望みつつあると認識している。先月には「国旗損壊罪」「皇室典範改正」が成立した。

このような国策映画が、今や否定されず多くの【いいね!】を集めるかもしれないと思えてくる。

本作公開の1か月後、東京大空襲によって10万人以上が亡くなった。


【あらすじ】
プロローグ:万世一系の天皇の国
皇紀元年の字幕。神武天皇たちの姿。切り替わって皇紀2601年(昭和16年)の字幕。宮城での軍隊行進。天皇が発した「米国および英国に対する宣戰の詔書」が読み上げられる。

〈詔書の現代語訳〉
天の神々のご加護を受け、万世一系の皇位を継ぐ大日本帝国天皇は、忠誠心を持ち武勇あるあなたがた国民にはっきりと示す。私(昭和天皇)はここに、米国および英国に対する宣戦を布告する。私の陸海軍の将兵は、全力を奮って交戦に従事し、私の政府関係者・官僚・役人のすべては、励んで職務に身をささげ、私の国民は、それぞれの役割を果たし、億兆の心をひとつにして、国家の総力を挙げ、攻め戦う目的を達成するため、間違いのないように注意せよ~

1:南方戦線の前線部隊
南方のジャングル地帯。突撃命令を待つ部隊の小隊長(佐野周二)は、兵士たちにそれぞれの郷里の思い出を語らせる。兵士たちは遠く離れた故郷へと思いを巡らせていく・・・

2:雪国の勤労と滅私奉公
大雪の村の一軒家。老父母(大矢市次郎、沢村貞子)と勤労奉仕に励む息子が暮らしている。息子は夜遅くまで親の仕事を手伝おうとするが、父親は「奉仕活動こそが最優先」として早寝を促す。夜半、雪の影響で立ち往生した物資輸送列車を救うため、父親は村人たちとともに徹夜で雪かきをする。

3:疎開学童の毎朝の神社前合唱
朝、雪の中を「一・二・一・二」の掛け声で走る子供たち。神社を拝礼し「御歌 総唱」の号令で香淳皇后から下賜された御歌を合唱する。

「つぎの世を 背負ふべき身ぞ たくましく
正しく伸びよ 里に移りて」
〈訳〉次の時代を背負って立つ大切な身体なのだから、親を離れて地方の里へ移っても、たくましく、正しく成長していきなさい

締めくくりにに丘の上から東京の方に向かい
「お父さん、お母さん、おはようございます」と合唱。

4:銃後の防空指導と隣組
隣組の組長(小杉勇)は町を見回り、防火用水の凍結を防ぐため氷を割るよう住民に指導する。組長は作成中の防空壕の強度を自ら確かめようと天井板の上に乗るが、板が突き破れて落ちてしまい、施工の不備を身をもって証明する。

〈通学中の子供たちが繰り返し唄う「比島決戦の歌」〉
いざ来い!ニミッツ、マッカーサー
出て来りゃ地獄へ逆落し
※作詞:西條八十、作曲:古関裕而
チェスター・ニミッツは米海軍大将
ダグラス・マッカーサーは米陸軍大将

5:少年飛行兵への志願
少年(沢村アキヲ/後の長門裕之)は親に相談せず独断で少年飛行兵に応募する。事情を知った父親は内緒にしていた行為をとがめつつも、特攻で戦死した兄の遺志を継ぎ国家のために身を捧げようとする息子を称える。

6:召集令状と縁談
見合いを終えた若い女性(高峰三枝子)。そこへ見合い相手から「召集令状が届いたため縁談を一度白紙に戻したい」との連絡が入るが、女性は出征する兵士の妻として添い遂げる決意を語り周囲を感涙させる。

7:満員電車内の助け合い
召集令状を受け取って泥酔した若き工員が電車内でふらついている。乗客たちは咎めることなく温かい眼差しでいたわり、同乗していた陸軍将校(高田浩吉)は自ら席を譲って工員の身体を休めさせる。

8:空襲下の防空壕と母子
首都に空襲警報が発令され、住民たちは一斉に地下の防空壕へ避難。赤ん坊を抱いた母親(田中絹代)は笑顔で子守唄を歌い続ける。周りの兵士や警察官、避難民たちも、その姿に励まされながら静かに耐え忍ぶ。

9:慰問劇「お山の杉の子」
疎開先の子供たちを元気づけるため、童謡「お山の杉の子」をモチーフにした天女の舞(淡島千景)などのミュージカル風演劇が披露される。

10:病院船撃沈と将校の出征
出征を控えた海軍将校(上原謙)が母と妹と亡き父の思い出を語り合う。従軍看護婦の妹(星美智子)は、敵軍によって病院船が攻撃・撃沈された惨劇について怒りを込めて語る。翌朝、将校は家屋に向かって深く礼を捧げ前線へと向かう。

11:特攻隊遺族への慰労会
特攻死した隊員の父親たちが、息子が飛び立った基地に招かれ「軍神像」を礼拝する。息子たちが出撃前夜に宿泊した宿で慰労の宴が開催される。特攻隊隊長(小杉勇)と同僚兵士たちから、我が子の勇敢な最期や軍での活躍を聞かされた父親たちは大いに感謝し、我が子の犠牲が報われたことを喜ぶ。

〈同僚兵士が披露する歌〉
おいらの親父は話せる親父 国の為なら死ねと言うた
おいらの母ちゃんは優しい母じゃ 仇の花と咲けと言うた
おいらの部隊長は話せる男 靖国神社で会おうと言うた
えんやらのや えんやらやの声聞きゃ気が勇む

12:いざ!突撃
画面は再び冒頭のジャングルへと戻り、出撃命令が下った小隊長(佐野周二)ら部隊が出陣する。

エピローグ:必勝歌
「必勝歌」の合唱が流れる中、洋上を進む日本帝国軍艦、工場で作業に勤しむ国民、大空へ飛び立つ戦闘機の群れが映し出されて終幕。


※追記MEMO
本作に横たわる無常観に、ナチスドイツの敗戦末期のプロパガンダ映画「Opfergang(犠牲行)」(1944)を連想した。

★哲学者:和辻哲郎による日独の美的理念比較
・ドイツ初期ロマン派
「無限なるものへのあこがれ」
・本居宣長が提唱した”もののははれ”
「永遠の根源的な思慕」
・両者の共通点
「絶対者への依属の感情」が本質的に含まれている


※このところ三島由紀夫『豊饒の海』のラストの解釈に悩んでいたが、日本の無常観”もののははれ”を起点に考えれば直後の”自決”まで腑に落ちる。

・西行法師の和歌
「飽かずのみ 都にて見し 影よりも 旅こそ月は あはれなりけれ」
【訳】
飽きることなくいつも都で仰いでいた月よりも、 旅の空でながめる月影こそは、あわれ深く思われる

月に「あはれ」を見た西行は、幽玄の境地を切り開き東洋的な「虚空」「無」を表現した。

『豊饒の海』とは月の表面の黒い影の部分=海のように見える部分のこと。三島由紀夫は「豊饒の海」と自決をもって、源氏物語~西行に連なる”もののははれ”の美学を現代に留めようとしたのではないか。

「見渡せば 花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋の 秋の夕暮」(藤原定家:
新古今和歌集)
3.0
〖1940年代映画:国策映画:松竹:幻の戦争映画選〗
1945年製作で、昭和20年の緊迫した戦局下、情報局国民歌の宣伝のための国策映画らしい⁉️

2023年1,858本目
敗戦直前の悲壮感ただよってる

『必勝歌』に似ている作品