とりん

劇場版 呪術廻戦 0のとりんのネタバレレビュー・内容・結末

劇場版 呪術廻戦 0(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

2022年5本目(映画館3本目)

週刊少年ジャンプで連載されている人気作品「呪術廻戦」の前日譚、コミックでは0巻にあたる話。
原作はジャンプにてリアルタイムで読んでおり、作品自体面白いと思っているし、アニメもしっかり見ている。
ただここまでの人気ぶりは「鬼滅の刃」もそうだが、異常かなと思ってる。個人的には「呪術廻戦」の方が好きだけど。
「鬼滅の刃」はあくまでジャンプの数ある作品でそれなりに面白かった作品のひとつでしかない。
「呪術廻戦」も同じような感じではあったけど、アニメを見て特に好きになった作品。
これは「鬼滅の刃」にも最近の他の原作ありきの作品にも言えることだけど、原作終了、もしくはストックがそれなりにあるにも関わらず連続クールではせずに、しっかり時間をかけて作ることが増えている。そのためもあって本当に画力、映像のクオリティが驚くほど高い。
テレビアニメの時も作画が崩れることがほぼない。それに加えてバトルシーンの迫力はさらにすごい。
クリエーターが心配になる程。映画になると大スクリーンで観るのもあって圧巻。鬼滅の刃の無限列車編はまだ観てないけど。

さて前置きが長くなったが今回の映画の話、想像していたよりかなり面白かった。
先も言ったように原作はジャンプで読んでいるので、今作の原作にあたる0巻は未読。軽くあらすじ程度はなんとなく知っていたが、ここまで大事だとは。
本編の主人公である虎杖悠仁が入学する前の話で、虎杖悠仁は出てこない。本作の主人公は彼の一学年先輩である乙骨憂太の話である。彼の過去に何があったからどうして特級呪術師なのか、何より彼に憑いていた特級呪霊・折本里香との関係性が描かれている。
幼馴染で両思い、将来の約束までした2人だったけど、不慮の事故により里香は亡くなってしまった。それから彼女は呪霊となり乙骨を守るようにずっと側にいた。乙骨な内気な性格も相まってずっと1人でいたし、誰かにかまわれた時、里香のせいで周りを傷つけてしまうことが多かった。
特級呪霊という大きすぎる力のせいで、自らの死すら望んでいたが、五条悟の力添えにより呪術高専に転入、仲間達と打ち解け合い、青春する日々が描かれる。青春な感じは本編とも少し似ているが、乙骨は過去が過去なだけに心身ともに成長する姿が見て取れる。

そして最後の百鬼夜行、および夏油傑との戦い。
感情を爆発させ、里香をコントロールしようとするあまり、それまで守ってくれる常にそばに居る存在だった里香に対し、命令口調になり、主従関係が成立している。
この際これまで"里香ちゃん"という呼び方から"里香"に変わっている。そういうところもポイントだなと思う。

本作のラストでは2つの別れが描かれる。
まず五条悟と夏油傑。夏油は元々高専生で五条傑と同級であった。
ある事件をキッカケに最悪の呪詛師になったわけだが、最後のやりとりで五条は夏油に対し信頼の感情を残しており、決して恨んでなかったように思える。
もうひとつは乙骨と里香、最終的に里香の呪いは解放され成仏するような形になったのだけれど、ここがなんか泣けてしまった。
「あんまり早くこっちに来ちゃダメだよ」ってよくありそうなセリフだけどジンときた。
五条と夏油の別れもそうだけど、温かみがあるんだよな。

乙骨やこの代の高専メンバーも好きだし、ストーリーもしっかりしていて本編より好きかもしれない。
あとは本編で活躍する呪術師たちが百鬼夜行に参加してる人たちも多く、あの人だと楽しめる場面も多かった。
アニメや原作知らなくても少しは楽しめそうだけど、世界観の話や専門用語の説明が結構少なめだった気がするので、初見の方はさすがに厳しいかもしれない。
それにキーマンである夏油傑の肩書きである呪詛師の説明なかったような。
とりん

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