へたれ

ファイナル アカウント 第三帝国最後の証言のへたれのレビュー・感想・評価

3.5
良かったとこ1 素材が貴重
クロード・ランズマンの「ショア」の逆バージョンという、ありそうでなかった企画が良かった。
2008年にインタビューしていたそうなので、ナチス関係者がまだ元気に喋れている映像が貴重。

良かったとこ2 集団の悪を浮き彫りにさせる切り貼り構成
「ショア」と違って、インタビューしている人物にあまり深入りしない代わりに、次々と取材対象が切り替わっていく。その効果は明確で、誰か特定の人の狂信的な犯罪ではなく、普通の人々がナチスに同調し、その結果として集団がホロコーストという巨悪に進んでいったことを印象づけていた。
ホロコースト万歳というような人はさすがに出てこないけれど、エリートという承認欲求に今もこだわり続けている元SSや、軍服がカッコよかった程度の憧れからナチスに賛同していった人など理由はさまざまで、ハンナ・アーレントが言う「凡庸な悪」が目の前で見えてくるのは、このドキュメンタリーならでは。

ダメだったとこ 資料性以上の面白さはない
これまで知られてきたナチスの戦争犯罪について、ナチスの人たちはどう思っているのかという一点を追い求めている映画。特に新事実が分かるとか、すごい物語があったというわけではないので、資料として見るのがちょうど良い。
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