踊る猫

ひまわりの踊る猫のレビュー・感想・評価

ひまわり(1970年製作の映画)
4.2
ラブ・ストーリーであり、かなり辛口に仕上がっているという印象を受ける。面白いところが渋いというか。戦争によって引き裂かれた関係が主題となっているが、政治的な匂いはなくリアリスティックに恋が/現実がままならないことを描いており、流石は『自転車泥棒』の監督だなという感想を抱く。女性の服を乱暴に扱ったり、力ずくで抱き寄せようとしたりするところの演出もリアルで、細部が丁寧に作られていると思った。だから、ヘンリー・マンシーニの音楽は情緒に訴えかけるところがあるのだけれど基本的にはアイドル的俳優が魅力を振りまくというのではなく、大人の芝居でじっくり手堅く魅せていく。この魅力、映画をまだ見慣れてなかった自分にはわからなかっただろうな……と自画自賛してしまうのだけれど、同時にわかったような気にならずイタリアのネオリアリズムを追いかけてみるのも一興かなと思った。イタリア人気質……フェリーニといいシーカといい、イタリアは面白い監督が居たものだ。
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