ケイスケ

ベネデッタのケイスケのレビュー・感想・評価

ベネデッタ(2021年製作の映画)
4.0
ヴァーホーベン!愛してるぞー!

17世紀、現在のイタリア・トスカーナ地方にあたるペシアの町。幼いころから聖母マリアと対話し奇跡を起こすとうわさされていたベネデッタは、6歳でテアティノ修道院に入る。ある日、彼女は修道院に逃げてきた若い女性バルトロメアを助けやがて二人は秘密の関係を結ぶようになるが、ベネデッタが新しい修道院長に就任したことで波紋が広がっていく。

傑作しか作れない男ポール・ヴァーホーヴェン監督。『ロボコップ』や『ブラックブック』あたりが大好きですね。本作は当時のイタリア、しかもシスターというだけあってレズビアン描写に対しての反発が強い時代ですが、ヴァーホーヴェンの映画って、老若男女問わず人間の芯の強さを描くのが非常に上手くて本作も例外ではありません。

聖痕や奇跡を起こし民衆から崇められた一方、同性愛の罪で裁判にかけられたベネデッタ・カルリーニ。自分が知らない実在した人物を映画を通して知れるのは本当にいい体験。彼女は手足や額にキリストと同じ聖痕が現れたことで崇められますが、「この傷は自作自演ではないか?」とも疑われます。証拠は多々ありますが、真相をボカしているのは上手いところ。

実はあんまり予算無いのかな?と思いました。結構、同じ場所やセットが出てくるんですがそこは手練れのヴァーホーベン、そんなものはお構いなくきっちり豪華な仕上がりになっています。あと舞台劇のようにも見えてくるので時代背景と合ってるかと。彗星シーンは起きる惨劇も含めて終末感が出ていてめちゃくちゃ良かった。

終盤のベネデッタがいよいよ火あぶりにされるところはテンション上がります。モブのハゲがめちゃくちゃいい仕事してた。R18+指定のため、痛いシーンやエロは多いです。同性愛を描くため濡れ場は必須ですが、正直ほとんどAVに近いと思うので人を選ぶかもしれません。ただヴァーホーベンの年齢的にもここまで尖った作品を観れるのは最後かもしれないですね。なので絶対に映画館で見ましょう!傑作でした!