ビデオスルーだった模様のパート3。1時間弱の尺で観やすいながら丹波哲郎のエッセンスが凝縮されていた。

今作はサブタイトルの通り生まれ変わりがテーマ。小泉八雲の”勝五郎再生記”を実写化した時代劇パートと丹波哲郎氏自ら生まれ変わりについて、死生観を丁寧に解釈してくれるパートの二部構成。そして今作では息子は出演していない。

時代劇パートは前世の記憶を持った少年勝五郎のお話で勝五郎が丹波哲郎氏演じる使いの者に霊界へ連れ行ってもらうんだけど途中の滝で丹波哲郎氏が龍に変化して滝登りを披露するシーンがいきなりのアニメだった所がハイライト🐉

本編は後半の丹波哲郎氏の生まれ変わりについての語りで”生きるのは楽しい。健康が一番。死ぬのが楽しみだ。”と力強く語る丹波氏の説得力はさすが昭和のスターといった語り口だった。
こういうポジティブなマインドでいたい。
語りに挟まれるなんとも言えない味わいの半裸の天女のイラストなんかも見もの。


“そして　アーンド！　良いですか？　死ぬのが楽しみだ”

前2作とは趣が異なり、丹波哲郎の語りがメイン。
輪廻転生の証拠として小泉八雲の「勝五郎再生記」が挟まれますが、ここで主要キャラクターとして登場するのがふたたび野際陽子。陽子、恩義があって断れなかったんだろうな……いい人だな……

謎のイラストとアニメーションが狂っているが、丹波哲郎の語りのシーンはかっこよくて（内容は基本トンチキではあるものの）、「砂の器」の今西刑事の捜査会議で和賀英良の過去を妄想だけで語ってちょっと泣いちゃう熱いシーンとオーバーラップする。この人はとてつもないスターなんだなあ、と謎の感動を覚えました。

丹波哲郎が霊界研究を通して言いたいことは、「人として、明るく素直にあたたかく、この世を生きるのは素晴らしいこと」であって、輪廻転生やカルマや地獄などの"霊界"のあれこれは、いまこの世を「人として正しく生きる」ための知識である、ということなのだろう。それがこの、ラストの決めゼリフに凝縮されていると思う。

生きることは面白い。健康こそが一番幸福。
そして！and！いいですか、死ぬのが楽しみだ！

小泉八雲が書いた本当の本は、この手の研究で貴重な資料とされているのは、事実です。