Growltiger

ドラえもん のび太と雲の王国のGrowltigerのレビュー・感想・評価

4.0
天国を信じている事をバカにされたのび太は、ドラえもんの道具で雲の上に自分達だけの国“天国”を作る。しかしある日、本当に雲の上の国を見つけ天上人と交流を図るのだった。
友好的な天上人だったが、実は彼らには恐ろしい計画があった...。


ドラえもん映画の中でも結構教育的な内容で、前半の夢に溢れた展開と後半のシリアスな展開に幼少期は夢とトラウマを与えられました。

まず雲の上に自分の国を作るって、めちゃくちゃ憧れませんか?
異世界とかでなく、雲の上という近いような遠いような微妙な位置の世界観がなんとも良くて、幼い頃の私は雲を見上げて心躍らせていました(可愛いかったんすよ俺)。

雲の上には天上人達の世界があった訳ですが、天上世界で地上の絶滅しかけた生物を保護してるって発想が面白いですね。
地上では「死んだら天国へ行く」と言われているのが実はそういう意味に繋がるのかと、藤子・F・不二雄先生の発想力に脱帽です。

ワクワクする冒険から、中盤からは急にシリアスな展開になり、ドラえもんは故障するし、みんなはバラバラになるし、そして恐ろしい「ノア計画」はトラウマでした。
終盤は暴力には暴力で対抗とドラえもんらしからぬ物騒な対抗措置を仕掛ける始末。
今にして思うとミサイルを向けあって外交してる地上の暮らしと同じですね。
それがどんな悲劇をもたらすか...。

今見るとやや説教臭い部分もありますが、当時は子供なりに色々考えさせられました。

なんで今作はこんな環境問題について説教臭い...いや教育的なのかと思ったら、映画公開当時の1992年は「環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)」が開かれた年でもあり、環境問題について皆んなが考える年でもあったのも関係していそうです。
そういう意味ではとても時代を反映した作品でもある訳ですね。

アニメ(及び漫画)版からのゲストが結構出てくる今作はややマニア向け。
知らなくても問題ないけど、知ってると懐かしくて嬉しい。

思い出も含めてやや贔屓目ですが、良い作品です。

毎度の事だけど、旧ドラ映画の武田鉄矢が提供してるエンディング曲は名曲が多く、今作の「雲がゆくのは」も感動します。