あの有名なジャンヌ・ダルクの裁判から火あぶりの刑になるまでの様子が描かれた作品。
この作品の見どころは、ジャンヌを演じた女優の凄まじい演技とカメラワークだろう。
映画の半分以上が主演女優のクロースショットであるが、ずっと引き込まれるから本当にすごい。
目を見開いた顔やホロリと涙を流したり、虚ろな表情など様々な表情を見せてくれる。
サイレントの字幕がなくても彼女の表情だけで話がわかってしまうのではないかというくらい、表情の変化による彼女の演技が圧倒的存在感を放っている。
そんな彼女の顔全体をちゃんと映すこともあれば近過ぎて見切れることも多々あった。
一方で裁判官たちを撮るときは、ジャンヌ目線の下から見上げるようなクロースショットが多い。
ジャンヌが感じていたであろう圧迫感がひしひしと伝わってくる。
作品を通して、余白のあるシーンと見切れるほどの近い顔のクロースショットのメリハリが良い。
火あぶりのシーンのじりじりとした嫌な緊張感も、観ていて辛くなるほどだった。
乳飲み子がはっとした表情でジャンヌの方を見つめるシーンに、思わず泣いてしまった。
挑戦的でありしかしシンプルな作品で、ジャンヌの感情表現に常に心を鷲掴みにされていた。