ゴトウ

レッド・ロケットのゴトウのレビュー・感想・評価

レッド・ロケット(2021年製作の映画)
3.0
ミニシアターで観て「おもしろかったけど…」とモヤモヤして帰る感じの映画だった。「私ここ笑うところってわかってますよ」という笑いまで聞こえた。『フロリダ・プロジェクト』と同じ監督なんだ……と知ってちょっと納得。前科、貧困、どん詰まり、怠惰で嘘つきのどうしようもないやつに仮初の光が……という物語の構造なのだけれど、肝心のクライマックスがあんまり自分のツボにハマらない。

初めから「入ってこないで」と言われ続けるマイキー。いろいろな家で中に入ることを拒まれ続けるが、最後に辿り着いた家では……というのが最後に残ったかすかな救いなのか。しかし、(法的には未成年ではないかもしれないものの)年端も行かない女の子をだまくらかしてセックスワーカーにしようとしているのが心証悪すぎる。広大な自然がかえってどこにも行けない町の人々の退屈を際立たせる一方で、自分を拒絶する居場所のない町を(あられもない姿で!)駆け抜けるマイキーの姿にはどこかたくましさ、おかしさもある。若い女に目を奪われ、オスとしての自信を取り戻したかに見えるマイキーもどこかで足元すくわれるのが目に見えていて全く応援したくもならない。

「暇でセックスしかやることない」みたいな田舎観って本当なのか?どこまで行っても同じような風景で、周りにあるのは売人、セックス、トランプの演説、高校生の時の武勇伝……ストロベリーちゃんもいずれ、映画冒頭のマイキーのように町に戻ってくるのかもしれない。
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